天使のはらわた 赤い淫画

劇場公開日:

解説

不本意にもビニ本のモデルにされてしまい、恋人に去られ、会社も辞めさせられて堕ちていく女の姿を描く。石井隆の原作の映画化で、脚本も石井隆、監督は「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」の池田敏春、撮影は「あそばれる女」の前田米造がそれぞれ担当。

1981年製作/67分/日本
配給:にっかつ
劇場公開日:1981年12月25日

ストーリー

デパートに勤める名美は、友人からバイトを紹介され、適当に遊ぶ彼女は軽い気持ちで応じた。しかし、仕事はビニ本のモデルで、名美はカメラマンに強引に裸にされてしまう。「赤い淫画」と題されたそのビニ本は大ヒット、彼女のアパートに変な電話がかかったり、不審な男につけられるようになった。モデルになったことで、見知らぬ男たちにつけ回される恐怖が彼女を包んだ。やがて、上司の阿川と情事を続ける名美は、奥さんにバレて別れさせられ、ビニ本が会社で話題になって辞めさせられてしまった。数日後、健三という男から名美に電話が入った。健三はビニ本の名美に魅せられ、彼女を追っていたのだ。必死に想いをうちあげる健三に、堕ちていく予感を抱きながらも、翌日のデートを約束した。男は皆同じ、もう一度、騙されついでにと、健三に賭けたのだ。約束の日、健三の隣の家の娘が暴漢に襲われ殺された。その辺は下着泥棒や暴漢が出没し、娘の父は健三を殺人犯と疑い、猟銃を発砲した。一方、名美は約束の時間を過ぎても健三を待っていた。「若い男が血だらけで死んでいる」と行き交う人の話を耳にしながら名美は帰ろうとしたとき、傷口を押え、苦しそうに立っている健三を見つけた。ニッと笑う健三に、名美は安心すると同時に、涙がとめどなく流れてきた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0地下道

2022年4月16日
Androidアプリから投稿

 一生に見られる映画の本数は限られてる、だから同じ映画は何度も見る方ではない。だがこの映画は学生時代に3回か4回見た、それほど気に入った作品。ストーリーの細かいことは覚えてないが、無理なく入ってきたはず。そして地下道や公園など、いくつかの場面は忘れられない。一般映画だったらもっと評価されてたんじゃないかと思っていた記憶。

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またぞう

3.0主演女優、泉じゅん

2021年12月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

時代を感じさせない美しさでした。体当たりの熱演でした。

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tuna

2.0ビニ本

2021年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

デパートに勤める名美は、友だちに頼まれてビニ本モデルをやってしまう。
不倫相手にばれて捨てられ、デパートもクビになってしまう。
そしてビニ本でファンになった男が・・・。
こたつのシーズンです。

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いやよセブン

4.0コロナウイルス禍の孤独の中、極めて現代的なテーマを扱っているといえよう

2020年6月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

日活ロマンポルノ
21世紀の現代ではAV はレンタル店にコーナーがあり、ネットにもあふれているし、海外のサイトならモザイクもないものをいくらでも手軽に見れるのだ
当時の性描写などなにほどのこともない
ならば何故、21世紀にそれを見る価値や意味や意義があるのか?

それは映画としての価値があるからだ
21世紀の現代人にも観る意味と意義があるのだ

淫画とは?
もちろん名美が騙されて撮られたエロ本の写真のことだが、本当は違う
陰画=ネガに掛けてある
赤いとはコタツの赤外線ヒーターや石油ストーブの光の色
それはフィルムを現像する暗室の赤いライトの色のこと

何のネガなのか?
名美は村木の反転したネガなのだ
そして村木もまた名美の反転したネガなのだ

大都会の孤独
冒頭の名美、村木それぞれのオナニーシーンは、二人の男女の孤独を説明するためのシーンに過ぎない

名美も村木も大都会に孤独に暮らしている
心から休まる異性も友人すらもいないのだ

名美の不倫も、エロ本モデルに会社の同僚を売る友人、無人のロッカールーム
村木の覗きや、下着泥棒の濡れ衣も、この二人は果てしない孤独に落ちていることの説明なのだ

大都会に孤独に暮らす男と女
それは、ネガとポジの関係で結局おなじ孤独な人間なのだ

村木は性対象として名美を追うのか?
もちろんそうだが、本当は孤独を慰めあいたいのだ

名美もまた、何故赤い傘を村木に持っていくのか?
彼女は彼に慰められたかったのだ
互いの巨大な孤独が引力となって、二人を引き寄せあっているのだ

雨のジャングルジムと赤い傘を真上から見下ろす構図の鮮烈なイメージ
アパートの管理人の中年女への姿と、かっとなって脳裏の中でレイプする村木のイメージが重なり合うシーン
映像表現も大変に素晴らしいものがある

21世紀の現代では、40年近い本作公開当時以上に人間は孤独だ
SNSで、よりつながっているようで、それは孤独さ、孤立を救う為の救命浮き輪に過ぎない
本当の人間と人間のエモーショナルかぶつかり合いは、遥かに希薄化している

そしてコロナウイルス禍だ
巣籠りしてどこに男女の出逢いはあるのか
zoom飲み会で愛への渇望はいやされるのか
そんなもの代用品だ

名美のように、村木のように
生身の肉体、その肉の満たされない精神は、これからも永遠のように長く続く人生への絶望を嘆いているのだ

名美は職を失ってしまった
そして女性としても結婚適齢期のピークだろう
これからは下り坂だ

村木は30手前で、手に職もなく、車の免許もなく、従って仕事もなく、このまま若さも失っていくだけなのだ
つまり二人の未来は下り坂しかない
時計は残酷に時を刻み、二人を老いさせていくのだ

まだ若い今この時に、愛への渇望を満たせなければ、いつ満たせるというのか?
一体なにで満たせられるのか?
チャンスはないのか?

真っ暗な夜のジャングルジム、冬の冷たい雨
それは、がんじがらめの大都会の孤独のつらさ
その中に鮮やかな色彩をもってさしだされる赤い傘
それは血のかよった真心の愛の象徴だ
名美は村木にそれを渡し、村木はそれを死にそうな大ケガであっても名美にまた手渡そうとするのだ
愛に命をかけてにじりよる覚悟と情熱
そんな純愛がこの孤独を突破できる力だろう
愛への熱量をこれほどまでに持たなければならないのだ

コロナウイルス禍の孤独の中、極めて現代的なテーマを扱っているといえよう

時代を超えた命を持つ傑作だ

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