停年退職

劇場公開日:

解説

朝日新聞連載、源氏鶏太原作を「男と女の世の中」の斎藤良輔が脚色、「御身」の島耕二が監督したサラリーマンもの。撮影は「風神雷神」の渡辺公夫。

1963年製作/92分/日本
配給:大映
劇場公開日:1963年3月1日

ストーリー

矢沢章太郎の停年退職の日はあと九十日に迫っていた。妻に先立たれた彼は年頃の娘のぼると高校生の章一、姿やとの四人暮しだが、この所急に身辺多忙となってきた。一つは退職後の勤め口のこと、これが思うようには見つからない。もう一つは部下の小高秀子が妻子ある男との恋愛に悩んでいるというので忠告したが、彼女はプライバシーの侵害だといって受けつけない。同じ年ののぼるが最近失恋したらしいと聞いたばかりなので他人事とは思えないのだ。更に行きつけのバー・ぐんじのマダム道子から、結婚を申し込まれたことも彼の心を大きく揺さぶっていた。坂巻広太は、会社の派閥争いの中でどちらにも属さない章太郎の潔癖さを尊敬していたし、章太郎も彼を娘の婿にと秘かに考えていた。ある夜ぐんじで、章太郎は秀子の相手の男と顔を合わせ、その卑劣なやり方を責め、離縁を迫った。そして数日後、恋を失った秀子は失踪した。責任を感じて後を追った章太郎と道子は湖畔の宿で秀子をとらえ、将来を説いて再出発を誓わせるのだった。停年まであと一カ月、勤めが決らずあせり気味の章太郎は、退職した先輩達を訪ねてみた。酒の店を出した田所、書道の塾を開いた西田、章太郎はこれらの退職者達の消息を社内新聞に載せることを担当の広太に提案し、広太は早速取材にとんだ。その行先で広太に縁談がおこった時、のぼるに好意を寄せていた彼は、章太郎に話してのぼるの社を訪ねた。そこでのぼるから重役の娘にのりかえた相手が同級生の青島と知って、広太は激しい憤りの鉄拳を青島の頬にとばした。のぼるの胸に熱いものがこみ上げてきた。しかしなおも結婚をこばみつづけるのぼるを強引に口説いた広太は一計を案じて章太郎を家によびもどし、その間にロジに出かけ、道子とのぼるたちを合わせた。章太郎の停年の日ももう眼前に迫ったが、のぼるが広太と結ばれる日も近く、道子とともに第二の人生にスタートすることとなった章太郎の表情は春のようにのどかなものがあった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0”停年”だったんだ

2021年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

4年前に妻を亡くした課長(船越英二)は、停年まであと60日なのに、再就職も決まらずにいた。
家に帰れば娘が失恋したらしく、元気がなく、お手伝いさんはますます耳が遠くなった。
飲み屋のママからは言い寄られているが煮え切らない。
会社は専務同士が派閥争い、部下は悪い男に騙されているのに気づかない。
ラストシーンの傘の色から小津への敬意が伺われる。

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