大悪党

劇場公開日:

解説

円山雅也原作「悪徳弁護士」(自由国民社版)を、「残侠の盃」の石松愛弘と、「華岡青洲の妻」の増村保造が共同で脚色し、増村保造が監督した。撮影はコンビの小林節雄。

1968年製作/92分/日本
原題:Evil Trio
配給:大映
劇場公開日:1968年2月24日

ストーリー

洋裁学校の生徒芳子は、ボウリング場で安井と知りあい、バーに誘われた。安井がやくざとは知らずに、勧められるままに酒を飲んだが、それは睡眠薬の入ったカクテルだった。習朝、芳子は安井のマンションで目を覚ましたが、すでに身体を奪われ、そのうえ、ヌード写真を撮られていたのだ。一度は安井の許を逃げ出した芳子も、つきまとう安井の手から逃がれられず、マンションに監禁されてしまった。ある日、安井は人気歌手島輝夫に芳子を抱かせ、それを十六ミリに収めた。それをネタに島を恐喝しようというのだ。島のマーネージャーは五百万円を要求されて驚き、一件を弁護士の得田に任せた。得田が安井のマンションを訪ねたあと、芳子はその得田に救いを求めた。得田は芳子に、安井の手から逃れるためには彼を殺すほかはない、と説得して、その善後策を練った。その夜芳子は、酔って眠り込んだ安井の首にネクタイを巻きつけ、締め殺してしまった。早速、連絡を受けた得田は現場に着くと手なれた行動で殺人現場の偽装工作を行ない、その上で芳子を自首させた。得田の策略は、法廷で芳子が殺人を自首したあと弁護に立ち、殺人現場に第三者が存在した物的証拠を提出して、芳子を無罪にしようというものだった。偽装工作は第三者の存在を示すためのものだった。裁判が始った。得田の鮮やかな弁論は、芳子の無罪を裁判官に納得させるに十分だった。芳子が釈放されると、得田は一変した。島のマネジャーに、安井の部屋から手に入れた十六ミリを見せ、五百万円をせしめたのだ。得田の努力はすべてこのためだったのだ。しかし、芳子も今はただの純情な女ではなかった。彼女は得田に偽装工作の一件を警察に密告するとおどし、金を手にすると呆然とした得田を残して、去っていった。

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映画レビュー

4.5スリリングでドキドキ感のクライムサスペンス映画

2022年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

街のヤクザ・安井(佐藤慶)に卑劣な手段で脅迫された専門学校の生徒・芳子(緑魔子)が救いを求めた弁護士の得田(田宮二郎)は、殺しのテクニックを教えてその弁護もする、法律の抜け穴を衝くヤクザ顔負けの大悪党。スリリングでドキドキ感のクライムサスペンス映画、 昭和43年大映製作、増村保造監督作品。
弁護士である円山雅也の原作「悪徳弁護士」を、「黒の報告書」(昭和38年)の石松愛弘と増村保造が共同でシナリオ化。撮影は増村作品「妻は告白する」(昭和36年)、「兵隊やくざ」(昭和40年)などの小林節雄。
その昔、この映画を初めて映画館で観た時「法律には“一事不再理”という原則があって、同じ事件は二度と裁判しない」という事を知った。
田宮二郎、緑魔子、佐藤慶は適役で、法廷シーンでの得田弁護士の鮮やかな弁論と、無罪を獲得した芳子が最後に口にする言葉にびっくり。何度観ても飽きない。お薦めです。
増村作品に、田宮二郎は「黒の試走車」「女の小箱・より 夫が見た」などに好演、緑魔子は「大悪党」の翌年、江戸川乱歩・原作の問題作「盲獣」に出演している。

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papatyan
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