劇場公開日 1985年9月14日

「それでも恋は恋、ひと夏ならぬひと春の恋」早春物語 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5それでも恋は恋、ひと夏ならぬひと春の恋

2016年4月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

怖い

萌える

あまり80年代の邦画には詳しくないのですが、いかにも80年代、そしていかにも全盛期の角川映画な香りのする、まさにこの時代だからこそ成せた映画だったなと思いました。
今の時代では17歳の少女と42歳の中年男が恋しても、それはそれで無くもないような時代だったりもしますけど、当時はまあそう簡単なことではなかったでしょうし、ましてや中年男性に身を捧げようとするなどもってのほかだったでしょうから、だからこそ原田知世が演じた主人公・瞳の大人の世界へ背伸びしようとする様子にヤキモキさせられ、且つドキドキさせられる映画になっていた気がしましたね。

今の時代は大人への憧れよりも大人への絶望、そしてまだ子供でいたい心の方が強い時代だったりもしますから、今この映画を作っても絶対受けないでしょう・・・。
むしろ中年男性が女子高生を求めている時代ですしね(苦笑)
ただ瞳が大人の女性へと背伸びしようとする様子は、ここまで来ると若干、いや、かなり痛々しいかな・・・。
原田知世の可愛さで何とか成り立ってますが、ほぼストーカーですし、言動も相当ウザッたかったぁ。

しかし林隆三が演じた中年男・梶川がまさにこれぞ大人の男って感じの対応をするので、それがこの映画の味となって、何となく憎めない作品になっていたなと思いました。
見る前は単純に原田知世のアイドル映画だと思っていたのですが、見てみたら林隆三が醸し出す雰囲気の方が印象深くて、ある意味予想外でしたけどおかげで十分楽しめましたよ。
梶川は、まさにザ・包容力のある男性!って感じでしたね。

メインの部分以外では、瞳が親友に男関係で負けまいと意地を張る感じが、妙にツボでした。
この2人の80年代っぽい会話が終始微笑ましくて良かった、親友役の仙道敦子も原田知世に負けず劣らず可愛かったなぁ。
それと父親役の田中邦衛も味があって良かったねぇ、継母の由紀さおりと原田知世のビリビリした空気感もいいスパイスになっていたと思いました!
まあ全体的にはいろいろと突っ込みどころも多いのですが、時代の違いもありますので、そこは突っ込むのも野暮なのかな、最後の原田知世の主題歌を聴いて、とりあえずは余韻に浸るべしでしょう。

スペランカー