劇場公開日 1962年9月16日

「日本映画の最高峰の一角にあると断言します」切腹 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本映画の最高峰の一角にあると断言します

2019年9月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

尋常ではない、鬼気迫るとはこの事か
恐るべき研ぎ澄まされた脚本、撮影、演出、演技、美術
一切無駄も淀みもなく、日本刀のように切り立っています
正に氷の刃のような映画でした
これ程の強烈な映画体験を得る作品も稀でしょう

観ている最中は息を詰め、終わってからは呆然と暫く動けない
そのような映画でした

俳優陣も強烈な緊張感のある演技をみせます
仲代達也のみならず、岩下志摩の微かな表情の動きは名演とはこの事をさすのだと言うべきものでした
その他の登場人物の言葉、所作のその全てが美しく磨きぬかれてあります

作劇の構成の見事さは終盤へのカタルシスをもたらしますが、残される印象は重く深いものです
何か日本人の魂の奥深くが震えるものです

カメラが捉える構図、近影遠景の焦点の味わい
、陰影はそれは本当に白黒映画の最高峰のものです
それに撮られた風吹きすさむ草の丘での決闘
井伊屋敷での殺陣の迫力も最高峰のものです

日本映画の最高峰の一角にあると断言できます

あき240
momokichiさんのコメント
2023年12月3日

>日本刀のように切り立っている

いやあ、まさに!
この形容がぴったりでした。

momokichi