劇場公開日 1956年7月31日

「男と女の愛はどれも謎めいていて絶望と希望と憎悪とがひっきりなしに押し寄せる。」洲崎パラダイス 赤信号 はるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0男と女の愛はどれも謎めいていて絶望と希望と憎悪とがひっきりなしに押し寄せる。

2020年5月3日
PCから投稿

川島雄三を知ったのは「幕末太陽伝」。フランキー堺に振り回されたのを鮮明に覚えている。この映画は長い間、観たくて仕方なかった作品。
男と女の愛のカタチなどと言うといかにも陳腐だけれど、いまんのところそんな言葉しか探せなかった。
映画の落としどころを見事にはぐらかすのが実に上手いこの監督は、愛について希望に充ち溢れているのだろう。
いくつもの絶望を用意し、観るものを苛立たせて、女の側に立たせる。「弱い男とは縁を切れ」などと思わせて置き、一方の男女には男の側に立たせて「そんな尻軽女などは早く忘れろ」と思わせてしまう。

人は一人づつが違う。誰一人して同じ顔や性格ではない。だからいろいろな愛がある。
それはカタチではなくパターンなどでは決してないのだろう。

愛を十派ひとからげにして語ってはならない。と教えてくれた映画だった。

はる