女中ッ子

劇場公開日:

解説

由起しげ子の原作を「長崎の歌は忘れじ」以来の田坂具隆が久々で監督する映画で、脚本は田坂監督が「火の驀走」の須崎勝彌と共同で執筆した。撮影は「女人の館」の伊佐山三郎の担当である。主なる出演者は「おふくろ(1955)」の左幸子、宍戸錠、「青春怪談(1955 市川崑)」の轟夕起子、「うちのおばあちゃん」の佐野周二、「雪割草」の伊庭輝夫など。

1955年製作/142分/日本
原題:The Maid
配給:日活
劇場公開日:1955年6月26日

ストーリー

東北の雪深い寒村から上京した織本初は、かつての修学旅行の時の僅かの縁を頼りに、加治木家の女中になった。加治木家の主人恭平は日東時計の総務部長で、家族は梅子夫人の外、長男雪夫、次男勝美、梅子の姪の野村ひろ子などがいた。最初はすべて田舎流で家族達から笑われた初も、一生懸命に働いて次第に馴染んで来た。中でも家中から嫌われていたひねくれっ子の勝美はすっかり初が気に入った。初は勝美がこっそり母親に内緒で仔犬を飼う手助けをしてやった。夫人の合オーバーが紛失したが、これは勝美が仔犬の寝具に使ったのであった。やがて仔犬の一件は犬嫌いの母に知れたが、初の口添えでそれも許され、汚れた合オーバーをひそかに自分の箪笥の奥深く隠して始末したのも初であった。勝美が学校でいざこざを起こしても初が出掛けて解決するので、勝美は「女中ッ子」などと冷かされるようになった。旧正月の休暇で初が帰郷したので勝美は淋しかった。而も仔犬のチビが梅子の草履を噛んでクチャクチャにしたので捨てられてしまい、ゴム長をはいた勝美は東北本線に乗って初のところへ一人で行ったりした。丁度帰京する初はそれを知り勝美を連れ帰った。数日後、捨てられたチビも戻って来た。梅子はチビのためにボロキレを探そうと初に与えてある箪笥の引出しを引っくり返すと紛失した合オーバーがあった。初は勝美の仕業であることを打明けずそのため暇を出されてしまうことになった。最後の別れに初は勝美を学校に訪れたか、何も知らない勝美は「女中ッ子って言われるから学校へ来るなよ」と素気なく教室に消えてしまった。初は淋しく故郷へむかう列車に身を置いた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0とんでもない映画を見た!!!

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

某BCOと言う漫画雑誌の誌面で中森明夫がコメントしてたのをきっかけに同誌の漫画家の間で話題に・・・。二時間半と言う長さにチョッと怯みながらも早速鑑賞。なんですかこれは????見終わった後に最低評価を付けそうになるくらい唖然としたが、ふッと考えうるに、これこそ監督の(もしくは原作者の)意図だとしたら、これはもうブライアン・デパーマの🎦キャリーである。とにかくこの映画に込められている内容メッセージは極めて濃い。モノクロ映画である事すら忘れる。しっかりした日本映画の伝統を踏襲したカメラアングル。テンポのいいカット割り。そしてぇ~何と言っても左幸子がメチャクチャ可愛い。こんな顔立ちの、こんな比例を持った完成度の高いフェイスとさらに加えて表情の豊かさと・・・いますか?世界にも・・・。もう虜である。そして当時の地方と都会の家族そのものをあぶりだすこの女中と言う名のトリックスター。いや~それにしても二時間半が短い。次から次へと色々事件が起こるがスーパーウーマンの主人公、初(女中さんの名前)はそれをまた次から次へと解決するのである。しかしそんな完璧な初にもほころびが・・・この原作者の用意した綻びこそが人生と言う名の荒波に翻弄される清く美しく凛とした一人の少女の存在のはかなさを象徴的に表現するためのキーポイントとなっている。そしてその仕掛けに我々見る側は愕然とさせられるのである。まごう事なき傑作。

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mark108hello

5.0教育学を学ぶ人におすすめ

2021年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この時代の映画でこんな面白い作品があったとは驚きです。
子供の気持ちに寄り添うことを怠っていた家庭の雰囲気に一石投じたはっちゃんの優しさ。
徐々に氷が溶けるように心を開き、ペットを愛する気持ちで素直さを取り戻した勝ぼっちゃんに
容赦なくシビヤに接する家族の空しさ。
これから子育てをする若い人や教育の世界の進む人に観て欲しい作品です。

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Yumiko

4.0名女優左幸子が素晴らしい

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波
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Gustav
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