「ジャズ、来るべきもの。 右も左も受け流して踊り明かせばええじゃないか♫♪💃🎺🕺」ジャズ大名 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャズ、来るべきもの。 右も左も受け流して踊り明かせばええじゃないか♫♪💃🎺🕺
幕末の駿河国を舞台に、日本へと漂着した3人の黒人ミュージシャンと小藩の藩主が意気投合し、ジャズセッションを繰り広げる様を描いたミュージカル時代劇。
監督/脚本は『日本のいちばん長い日』『激動の昭和史 沖縄決戦』の、巨匠・岡本喜八。
………なんこれっ!?一体何を観させられているの?
ズーズー弁の黒人と関西弁のメキシコ人から始まり、全編に渡って悪ふざけの連続。「OK?桶持ってこい!」「Try?盥持ってこい!」みたいなカタコト異文化ギャグや屋根裏を踏み抜いてしまう間者といったドリフ的コメディなど、とにかくベタな笑いのオンパレードで、笑わせようとしてるんだか笑われようとしているんだかよくわからない💦
さんざんバカバカしい展開を繰り広げ、クライマックスはまさかの20分以上にも及ぶジャズセッション。この映画85分しかないのに…。黒人の奏でる音楽に古谷一行演じるお殿様をはじめとし、藩士から腰元、坊さん、さらには「ええじゃないか」の民衆たちまで加わり、トロンボーンにコルネット、クラリネットに太鼓にお琴に算盤に木魚にetc…と、音が鳴るモノならなんでもござれの収拾不能なカオスに突入する。乱痴気騒ぎは時間と空間すら超越し、ミッキー・カーチスがエレキギターを掻き鳴らし、山下洋輔がおもちゃのピアノを弾きまくり、挙げ句の果てにはタモリがチャルメラ吹きながら屋台を引きながら現れてしまう…。あーもうめちゃくちゃだよっ!!
大体、彼らが座敷牢に籠ったのは江戸薩摩藩邸が焼き討ちにあった翌日の慶応3年12月26日。明治が始まるのは翌年10月23日からなのだから、10ヶ月もあの中で狂乱の祭りを開催していた事になる。時間感覚もデタラメやないかっ!
しかし、この映画に込められているメッセージは至極まともである。「右と左、どちらに付くおつもりか!」と問い詰められる殿様は、そのどちらの派閥も無視し、黒人たちと共に「下」に潜ってジャズを協奏する。政治思想のドグマに凝り固まって無益な争いをおっ始めるより、人種も性別もごっちゃな人たちと一緒にバカ騒ぎする方がよっぽど楽しい。これぞ正に真理!
馬鹿な右と阿呆の左の対立にウンザリさせられる昨今。これはそんな時代の到来を予測し、それらの思想と距離を置く事もひとつの身の振り方であるという事を教示している。
本作で描かれるのは「天岩戸」伝説の逆。天照を外に引っ張り出す事は諦め、むしろ自分たちも天岩戸の中に引き篭もり、その中で酒飲んで踊って歌って騒ぎに騒ぐ。外界の事などしらーん。
これを無責任だと非難するのは尤もだが、その個人主義/享楽的な考え方こそ、むしろこの現代に必要なのではないだろうか。個すら解放出来ない人間に、社会を解放出来る訳が無いんだよね。
ただのバカ映画の皮を被りながら、分断と排斥を一蹴する最高にジャズでスウィングでロックンロールな傑作!こういう映画を観たかった!!
音楽は何も解決しない。だからこそ価値があるんだぜベイビーッ♪⚡️🎸❤️🔥🎺
※よく考えると、凄まじい音楽により時空間が歪むという展開、これってライアン・クーグラー監督の傑作『罪人たち』(2025)と一緒じゃん。ハリウッドよ!キサマ等の居る場所は既にーーー岡本喜八 が40年前に通過した場所だッッッ!
※※古谷一行は「Dragon Ash」のボーカル、Kjのお父さん。おそらくKjも少年時代にこの映画を観て、「僕もパパみたいな音楽をやりたい!」と思ったに違いない。本作が無ければDragon Ashも存在していないのです!!…多分。
※※※ 一つ言いたいのは、本来レイシズムは右ではないし、博愛主義は左ではないという事。なんかこれ雑にごっちゃにされてるけど、思想関係なく差別はダメだし人助けは良い。クラリネットのリードと篳篥の舌に互換性があると気付くシーンは、人種が異なろうとも分かり合える事を端的に示している。何故かYouTubeで無料配信されているが、排外主義の横行する今、この映画が観やすい環境に置かれているのは純粋に嬉しい☺️
共感ありがとうございます。
無料配信されている?
わー、ほんとだー。
セッションのところだけでも見直そうかなー。
すごく感動するわけでもないけど、こういう映画は貴重ですよね。

