劇場公開日 1975年4月26日

「観的哨での裸の焚き火のシーンのエロチックさは、1964年の吉永小百合と浜田光夫のコンビに圧倒的に勝ります」潮騒 しおさい(1975) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5観的哨での裸の焚き火のシーンのエロチックさは、1964年の吉永小百合と浜田光夫のコンビに圧倒的に勝ります

2020年9月30日
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山口百恵16歳
三浦友和23歳
この二人のシリーズ第2作目

潮騒は4回目の映画化
吉永小百合と浜田光夫のコンビによる、1964年の作品は第2回の映画化でした

それと比べてどうか?
ハッキリ言って本作の方が上です

本作のハイライトである観的哨での裸の焚き火のシーンのエロチックさで、もう勝負がついています

山口百恵の不安げな表情と細く固い裸体が、このシーンの本質を見事に表現しています
吉永小百合ではこの作品の根底にあるエロシシズムは表現出来ていなかったのです

三浦友和の裸体もエロチックです
あっち方面の方々にも大変人気があったというのも納得の裸体です
大昔、女友達に無理やり連れて行かされたその種のショーパブに出演していた褌姿の美少年達を思い出しました

この肉体をみたなら、浜田光夫のなまっちょろい筋肉ではエロチックさ、そしてその先のギリシャ神話の世界にまで到達できるがわけないと理解できると思います

ですから、山口百恵と三浦友和のコンビによる本作が、吉永小百合と浜田光夫コンビよりも優れていると言い切れると思います

本作の方が優れているのは、もう一つあります
それは久保新治の母とみ役の初井言栄です
目を見張る名演技で本作を引き締めてくれました
この人、声優さんでもあって、「天空の城ラピュタ」で海賊ドーラのCVされています

他にもお春婆役の丹下キヨ子、漁船の頭役の花沢徳衛も素晴らしい仕事ぶりです

あまちゃんの由来は、吉永小百合の作品よりも、本作の方からの由来の方が強いと思います

ラストシーンのナレーション

少女の目には誇りが浮かんだ
遠い海での嵐の夜、自分の写真が男を守ったと考えたのである
しかしその時、若者は眉をそびやかした
あの冒険を切り抜けたのは、自分の力であることを知っていた

これは三島由紀夫の原作小説の最後の一文そのままです

そして沖に向けて走り去っていく、小さな漁船に乗る二人の姿を捉えたカメラが引いて行きエンドマークとなります
その姿はもう夫婦です

新治が傲慢だと言うことではなくて、自分も一人前の男になれた、妻をめとり養っていける島の男になれたとの自負を表現してあるのだとおもいます

少なくとも西河克己監督はその解釈でラストシーンを撮ったと思います

快い余韻が残りました

山口百恵と三浦友和の二人には、もうすでに5年後に結婚に至るケミストリーが微かに立ち上っています

あき240