山椒大夫のレビュー・感想・評価
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すべては最後のシーンのために
安寿は姉であって欲しかったがキャステングの関係で仕方なかったのだろう。香川京子は妹であっても厨子王を立ち直らせ勇気を与えた姉の力を持った安寿だった。
そして田中絹代の素晴らしさ。気品と優しさのある母は最後のシーンでも変わることなく更に神々しいものになっていた。
「昔はひどかった日本」でもあり、現代にも通じるアクチュアルな問題も含む普遍的な物語「安寿と厨子王」。この国の宝物だ。
おまけ
終演後、香川京子さんのトークショーが!溝口監督から安寿の眉は阿修羅の眉にと指示された、とメイクさんから聞いたとの香川京子さんの言葉に感動し納得しました。今も現役で「女優」という「仕事」をしている香川京子さん。若いときから自立心と自由を求める心の強い方で尊敬します。
名作だが寓話的ファンタジー幻想は少なめ。
早稲田松竹にて溝口健二の2本立て
「山椒大夫」4Kデジタルリマスター版なのでとりあえず鑑賞。
子供の頃に読んだ事のある安寿と厨子王の物語で、大筋は、昔から知っているので、展開に驚きはないが、姉弟が逆の兄妹に変更してあり、悪党の山椒太夫を処刑するところがないのが不満。
原作通りにノコギリで悪党の山椒太夫を頭をギコギコしてくれないと爽快感がない。(オイ!)
身代わり仏像や死後の見守りなどの原点に有ったと記憶しているファンタジーな要素も完全に排除しているのは、リアリストの溝口らしい。
少年の頃の厨子王が、子役時代の津川雅彦なので、とても凛凛しいのだか、成長したらあれ?風体も滑舌も個人的に今ひとつの俳優変わって、子役時代が、良いのに成長したらどうしてこうなった?なキャスト。市川雷蔵だったら文句なしだか。
田中絹代も兄妹の母親役で、これまた酷い目に遭わされる。強制娼婦にされて逃げないようにアキレス腱を切られ、盲目に・・酷い。
個人的な不満も有るが、ともかく4Kデジタルによって蘇った、平安期の豪華なセットや衣装とロケ撮影も素晴らしい。
日本映画の至宝です
日本映画の至宝です
世界の映画遺産のひとつに間違い有りません
圧倒的な美意識、構成美
900年以上昔の平安時代そのものはかくやと言うべき美術と衣装、考証、音楽
何もかも圧倒的です
姉弟を逆転し兄妹に設定変更してあるなど、脚本も伝説や森鴎外の原作から見事な翻案です
田中絹代の品位があり気高い貴婦人ぶりは彼女だけにしか出せないものでしょう
そしてラストシーンでの零落の果ての姿でさえもその品位と気高さを漂わせることなど彼女にしかできないものです
彼女によりラストシーンの強烈な感情の破壊力をもたらすことが可能になったといえると思います
抱き合う二人をロングショットで高めから捉え、クレーンで視線を高く水平線に上げつつパンしていくカメラは本作を観終わった私達観客の感動をものの見事に表現して代弁してくれるのです
これぞ溝口監督といえるカメラでした
小中学生の内に、生涯の映画の基準の原点として一度は観ておくべきものです
丹波の国の国分寺は今の天橋立駅の対岸にあったそうです
山裾の高台の原っぱに白い木柱の碑が立っています
国府はそこから1キロ程東の辺りにあったのではとされているようです
山椒大夫の屋敷は映画では岩滝温泉の辺りに設定されているように見えます
昔は京都からは山また山で恐ろしく時間がかかりましたが、今は京都縦貫道で京都市内から2時間もかからず到着します
日本三景のひとつ天橋立観光の際は本作を思い出してみてはいかがでしょうか
国分寺は直ぐ近くです
言われているほどの作品ではないと思いました
雨月物語にびっくりして借りてみた、確かによくできていると思いましたが...ジョンフォードみたいに、その時代なりにしっかり作っているなぁと感心しましたがうまく映画と一体化できませんでした、残念。
※時代性なのか最期のあたりで「民主主義万歳!」みたいな、政治的なメッセージが唐突に入ってきた変な感じがして興ざめしたのは私だけでしょうか
ストーリーもドラマも絵も音楽も演技・演出も脚本も衣装も何もかもが素...
ストーリーもドラマも絵も音楽も演技・演出も脚本も衣装も何もかもが素晴らしい映画。
白黒だし、画像もフィルムの状態もあまり良くないはず。話も古いし、台詞回しも古くさい。もしかしたら、セリフもしっかりと聞き取れないかもしれない。名作だと言われているから、とりあえず時間があったら見ておくか。それが映画好き現代人の考え方でしょう。
でも見るときは、ちゃんと時間をとって見た方が賢明です。何かの前にとか、ちょっとずつとか、タイトな時間で見るのはすすめません。なぜなら、おそらく釘付けにされてしまうと思われるからです。暇つぶしとかに見るのが最適かもしれません。
でっかい画面で、大音量で、ただボーッと画面に集中して下さい。そうすると、やっぱこれって名作ッ!と思うはずですから。
安寿と厨子王…その後
森鴎外 なんとも悲しいお話
子さらい 人身売買 強制労働
今よりももっともっと ままならない世の中
自分を責めても 人の情けを忘れてはいけない
というお父様の言いつけを守る子供
哀れお母様は 津波に飲まれず生きてはいたが…
子供の頃絵本で読んだ「安寿と厨子王」
こんな悲惨なお話だったのか~
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