三月のライオン
劇場公開日:2021年2月26日
解説
「ストロベリーショートケイクス」「風たちの午後」の矢崎仁司監督が1992年に手がけた長編第2作。ベルギー王室主催ルイス・ブニュエル「黄金時代」賞を受賞するなど世界各地の映画祭で話題を呼び、日本でも熱い支持を集めた。兄に思いを寄せ、いつか彼の恋人になりたいと願う妹。ある日、兄が記憶喪失になる。妹は兄に、自分は恋人だと偽って病院から連れ出し、取り壊し間近のアパートで一緒に暮らし始めるが……。兄役に「ガキ帝国」の趙方豪。映画監督の石井岳龍、長崎俊一、山本政志が友情出演。2021年2月、デジタルリマスター版をリバイバル公開。
1992年製作/118分/日本
配給:アップリンク
日本初公開:1992年6月10日
スタッフ・キャスト
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2021年12月26日
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瓦解していく建造物はあらゆる既存性のメタファーだ。それが崩れていくごとに、禁断であったはずの兄妹愛もまた普遍性を帯びていく。
視覚的に印象深いシーンが多い。往来の真ん中でパンツを履き替える、新宿の路上で出前のラーメンを啜る、アイスキャンディーの入った大きなアイスボックスを持ち歩く、などなど。これらも建造物と同様に、既存性からの脱線を意図しているといえる。
ただ、このシュールレアリスティックなメタファーの蓄積が、ラストの出産シーンに結実するというのは何とも肩透かしの感がある。「赤子を産むこと=愛の証明」という定式はまるきり倫理的で旧態的だ。それまで静謐が支配していた画面空間が、突如として赤子の劈くような叫び声で埋め尽くされるのも、鮮やかなコントラストというよりは不快なジャンプスケア的演出に感じられた。
逆張りをするのだったら、最後までそれを貫徹したほうが説得力があるんじゃないか。あるいは単に、映像としてのメタファーの巧さに内容が追いつききれなかっただけなのかもしれないが。
相米慎二や森田芳光あたりが本作とほぼ同様の手法を用いていながらも作品としてちゃんと面白いのは、たぶん、その「手法」が本質ではないからだ。
相米は過剰ともいえる演技空間を構築することで、演者の根底にある「人間」を否応なしにカメラの前に引き摺り出そうとする。森田は映像の中にシュールな空転を生み出すことで笑いや不安を誘発し、映画を受け手にとってよりアクチュアルなものと認識させる。
それらに比して、本作は手法そのものが目的となっているように感じた。これが「邦画の誇るべき特色」と誤認されていった果てに、日本映画は終焉を迎えると思う。今のところそんな様子はほとんどないから、よかった。
2021年5月21日
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1980年ごろの懐かしい(私にとって)東京の風景と瓶のコカコーラ、撮影が丁寧だという印象が残っただけの映画でした。台詞を少なくして映像で表現しようとしているのでしょうが、意気込みが空回りしたのでしょう、単に悠長で退屈な映画になってしまっています。
2021年4月9日
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鑑賞方法:映画館
途中で出てきてしまった。ストーリーがない映画がダメなわけではないけど、代わりに、フェテイッシュな影像が続くだけで、センスも古く、なぜ賞をとってるのかわからない。女優は悪くない。男優は有名な人だけど、素人みたいに見えてしまう。
2021年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
なんとなーく、なんとなーく気になっていた作品で、相変わらず前情報皆無で鑑賞です。
近親相姦モノ(と、行っていいのかな?)は僕自身、苦手分野で、ちょっと不思議というか、お伽話的というか、抽象的表現が多い作品も苦手ですから、レビューになっていないかもしれません。
あと、想像し難い行動動機とか。(恋愛感情に説明できるものはないですが)
男女二人のシチュエーションによるものなのか、近親のソレなんですが、純愛モノめいた作品の匂いがしました。結局、血の繋がりってなんなんだろうかなぁ?なんてぼんやり考えてました。
血の繋がりがありますよ・・・・と言われたら恋愛感情を持たないし、言われなかったら持つ・・・
そんな生き物なのだろうか・・・?人間って。
父親の匂いを娘は嫌うようになっている・・・って聞いたことあります。(真偽は定かではないです)
生物として「近親者を好きにならないようにできている」と信じている僕は、どうしても本作に無理を感じてしまうのです。すみません。
妹の心情がよくわからなかった・・・という点も、ついていけなかったポイントかなぁ。
でも、でも、ラストの方の二人の関係の昇華の仕方には、なぜかグッと来てしまったんですよね。
前述しましたが、純愛モノめいた印象はその辺りで感じているのかなぁ?
不純のはずなのに、純という変な気分。
こんな感じで、終始モヤモヤーーーっとしながら、なんだろうなぁーーー?って思いながら鑑賞していまして、もやっと終わってしまいました。
でも、なんか、また観たくなる気がしている自分がいるんですよね。なんでだろう?