劇場公開日 1952年4月17日

「どうせ世の中、何をしたって同じことや」西鶴一代女 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0どうせ世の中、何をしたって同じことや

2019年12月30日
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鑑賞方法:映画館

冒頭、バケモノ女の三人が出てきて、思い出を語る。
その、お春。ジェットコースターのような流転の人生。落ちっぱなしならヤサグレてすむが、なまじ陽の目も見た分、儚い人生の落差が激しく、波乱万丈。
蓮如上人の御文章を引き合いに、「朝の紅顔、夕べには白骨と化すと申しますなあ」の台詞はまさにお春の人生を物語っている。

しかしこの映画を作成した時代、まだ江戸の風情を残したロケ地がいくらもあった。朽ち果てた築地塀。広々とし、なお閑散とした参道。遠くまで建物のない広い空。使い込んだ家屋と古く踏み固められた土間。そして彦根天寧寺の羅漢堂。、、、。その映像だけでも見惚れてしまう。
また、ワンカットごとの切り方が、舞台転換を味わっているようで、現代においてむしろ趣き深い。

栗太郎