劇場公開日 1952年4月17日

「流転の果てに」西鶴一代女 グッドラックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5流転の果てに

2016年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

悲しい

幸せ

意外に観やすくて面白かったです。
江戸時代、数奇な人生を歩んだ女性の一代記。溝口健二監督、1952年の作品です。

美しさ故に翻弄されてゆくお春。
海外で先に評価が高かったそうですが、わかる気がします。大名家の世継ぎの生母から花魁、果ては辻に立つ娼婦と、江戸時代の風俗をイキイキと見せてくれたうえ、「羅生門(1951)」の三船敏郎も出演です。
激しさと切なさが混然とした和の楽器の音色も心にしみます。演者の居住まい、立ち姿が美しいです。

次々と理不尽に踏みつけられていくお春ですが、ささやかながら一矢報いるユーモラスな場面もあり、人間の底にある強さも感じます。
そして、流転の果ての彼女には圧倒されました、演じる田中絹代には凄みがありました。

華やかな女性を並べての殿様のお妾探しの場面はつい笑いました、失礼よね。

グッドラック