劇場公開日 1968年2月17日

「溢れ出る男魂」黒部の太陽 みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0溢れ出る男魂

2014年2月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

敗戦後十年余りの昭和31年から始まった黒四ダムの建設。
北アルプスのどてっ腹に資材運搬用のトンネルを掘る難工事から 、この人間と大自然との壮絶な闘いの火蓋は切って落とされたのであった。
労務者たちの行く手を阻む破砕帯と同様に、筋金入りの土建屋気質丸出しで暴れまわる岩田源三(辰巳柳太郎)の存在もまた脅威でしたね。
まさに前門の虎、後門の狼みたいな緊迫した状況の連続技が続きます❗
そんな父親に憎しみを抱く息子・剛(石原裕次郎)とのお互いの荒ぶる魂をぶつけ合う場面はまさに鬼気迫るものがあります。
トンネル工事を意図的に遅れさせ、賃金を不当に搾取しているのではないかと大手ゼネコン社長に詰め寄る現場責任者の北川(三船敏郎)の姿も感動的。
彼によれば人間は金と知恵と時間があれば、やってやれない事など何もないと言う。
癌も克服出来ると…(絶句)。
不要と思われる甘ったるい場面も幾つかありましたが、全体的には骨太の人間ドラマでした。
命がけの撮影に挑んだスタッフ、俳優たちの情熱がこもった渾身の一作と言えるでしょう。
トンネル工事を再現した映像のスケールも凄いですが、臨場感たっぷりの音響を是非聴覚を研ぎ澄まして聞いてみて下さい。
山崩れを起こす前の岩盤が軋む音に、戦慄を覚えること必至❗
日本では、もう二度とこのような壮大なスケールの大作映画は作れないだろう。

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みつまる。