劇場公開日 1968年2月17日

「ただただすごい」黒部の太陽 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ただただすごい

2013年12月22日
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鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

長らく幻の映画となっていた本作が映画館で上映されることになって、以前はスケジュールが合わずに断念したが、今回はなんとか観ることができた。

ただただすごい映画である。
トンネルの掘削現場の迫力もさることながら、人間ドラマも見応えがあった。
かつてトンネルの現場で息子を死なせた岩岡(辰巳柳太郎)と、兄を殺されたと思っている息子(石原裕次郎)の確執は、辰巳の粘着質の演技とあいまって胸にささるものがあった。
息子が父親を追いつめるシーンの裕次郎の芝居は、いままで観たことのないものであった。
裕次郎の映画を見直さなければならないかもしれない。

製作当時の状況を考えると、三船敏郎と石原裕次郎がイニシアチブをとっていたと思われる現場で、熊井啓監督は、ドラマ部分で力量を発揮している。
ただ関電北川(三船敏郎)の娘のエピソードは必要だったのか。

世紀の大工事を映画化した映画人の執念というものを感じた。
CGがない時代に描くスペクタクル。すべてのことをコントロールしていたとは思えない映画の現場。
想像を絶する苦労があっただろう。
それだけのものが映画には込められている。
スクリーンで観ることができて幸せである。

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mg599