劇場公開日 1976年2月11日

「熊の着ぐるみ」君よ憤怒の河を渉れ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0熊の着ぐるみ

2019年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

 最初にテレビ放映されたのを見た時には、同時期の『野性の証明』と被ってしまい、今までどうしてもストーリーが思い出せなくなっていた。この作品がまた中国では大人気であり、NHKで特集番組を組まれているほど。中国では日本嫌いの人でも高倉健が大好きなのだそうだ。

 改めて見てみると、内容はほとんど『逃亡者』!能登金剛で死体を発見してしまったところでは、検事なんだから死体等に触っちゃまずいことくらいわかるだろうに、細かなところで検事の性格が無視されている。さすがに無実を晴らすためにもう一人の男(田中邦衛)を追って北海道に向かった頃には検事資格がはく奪されていることを理解したので、健さんの性格そのままでアクション逃亡劇が楽しめる。そして、道知事選に打って出るという大滝秀治の娘である中野良子がべたべたに健さんに惚れてしまう。彼女の一途なラブロマンスもグッとくるところ。ここまで惚れられてみたいような・・・ただ、北海道のシーンでは二度登場する熊の着ぐるみがお粗末すぎる!これじゃ『北京原人』と同じだわ(笑)

 小型飛行機を扱った中盤からは普通のサスペンスといった感じではあるが、田中邦衛に近づいたときの警察捜査網を突破するのに数頭の馬を走らせるシーンでアドレナリンが上がり、徐々に警部である原田芳雄が健さんに肩入れするようになり、精神病院に患者として潜りこむまで手助けしてくれる。そこからは社会派ドラマ。政治家が絡んだ製薬会社の危険な神経遮断薬が問題となってくる。飲んだふりしてロボトミー化されたような患者の振りをして、悪党政治家の西村晃に立ち向かうのだ。「こんな奴には100発ぶちこんでも正当防衛だよ」という原田芳雄の台詞がスカッとする(笑)

 中野良子のラブシーンや、原田芳雄の前で脱ぐシーンはあるものの、おっぱいだけはボディダブルのようでした・・・

kossy