劇場公開日 1998年10月10日

「冒頭の艇庫のプロローグの意味」がんばっていきまっしょい(1998) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0冒頭の艇庫のプロローグの意味

2020年4月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

原作の小説は読んでいません
冒頭が1998年当時の現代の艇庫のシーンから始まるのは映画版オリジナルなのかはわかりません
しかし、なぜそのシーンがプロローグになっているのでしょうか?

朽ち果てた艇庫の壁に遺された20年昔の写真
青春の日々はその古びたカラー写真に閉じ込められています

艇庫の取り壊しが決まります
特典映像には本編にはないその重機による取り壊しシーンがありました

それにしても、そこまでしてこの冒頭のシーンが一体何の為に撮られたのでしょうか?

Once Upon a Time...
Long Long Time Ago....

昔、昔、あるところに、このような青春物語があったのですということかと思います

昔の青春の物語なのかもしれません
しかし、同じような青春物語はいつの時代にも変わらず普遍的にあるのだ
それは今現在のあなたが作るのだ
それが本作のテーマであったのだと思いました

そして21世紀になってもう20年
1977年の写真と1998年の「現代」の21年よりも、長い時間が本作公開から過ぎ去りました

1977年の女子高生達は、いま60歳でしょう
孫すらいることでしょう
早い人は孫がこの女子高生達と同じ歳になっていてもおかしくありません

撮影時の田中麗奈と同い年の人が、悦ネェの母親と同じ歳恰好になっているのです

時は流れ、若者は歳をとりいつしか青春は昔話となります

青春の思い出は忘れ去られて、あの艇庫のようにいつか朽ち果て残骸となり、誰にも知られずに取り壊されて更地になり消え去っていくのです

それでも17歳の青春は毎年、毎年、それぞれ春に始まっているのです
自分たちの青春物語を毎年それぞれが作っていくのです

だから、がんばっていきまっしょいがタイトルなのです

2020年の春、新型コロナウイルスが襲来した年の春
入学式は例年通りではないでしょう
もしかしたら無かったかも知れません

それでも、がんばっていきまっしょい!

あき240