怪談乳房榎

劇場公開日

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解説

三遊亭円朝の「乳房榎」よりの映画化で、江戸名所図絵にある南蔵院という寺の杉戸に描かれた雌竜雄竜にちなんだ怪談である。脚色は「江戸の名物男 一心太助」の田辺虎男、監督は「朱桜判官」の加戸野五郎、撮影は「人形佐七捕物帖 浮世風呂の死美人」の鈴木博が担当した。「朱桜判官」の若杉嘉津子を筆頭に、中村彰・松本朝夫・林寛らが出演。

1958年製作/47分/日本

ストーリー

江戸は柳島に、菱川重信という幽霊の絵を書いて評判の絵師がいた。ある夜、彼は妻のきせと、生れたばかりの真与太郎を抱き、料亭「きくのや」の主人の招待の宴にのぞんだ。「きくのや」が倒産しかかった折、重信が幽霊の絵の傑作を与え、それを見る人で繁昌した、その返礼であった。その帰途のこと。きせは喧嘩のとばっちりから、浪人・浪平につき当った。浪平は、きせの妖艶さに心惹かれた。彼は、重信家出入りの商人の竹六をくどき、重信の門下生として転がりこんだ。もちろん、きせに云い寄るためだ。機会が訪れた。重信が南蔵院に雌竜雄竜の絵をかくため、泊りがけで出掛けたのである。浪平は云い寄った。きせも、浪平の執執な手練手管に肌身を許してしまった。さらに浪平は、重信を螢狩りにおびき出し、斬殺した。そして、きせの許に入婿した。が、きせは重信の下手人が浪平のような気がして、浪平を拒んだ。乱暴を働く浪平のため、きせの乳は出なくなった。きせと下男の正介が乳を求めていると、重信の亡霊が現われ、彼等を一本の榎の前に導いた。奇怪なことに、その木こぶから乳液が出て来たのである。真与太郎は、それをむさぼるように飲んだ。一方浪平は、真与太郎を殺すように、正介に命じた。正介は実行しない。浪平が、云うことを聞かぬ正介を斬りつけるや、重信の霊が現われ、浪平の周りにつきまとった。亡霊に追われる浪平は、きせをうながし江戸を去ったが、亡霊はあくまでまつわってきた。二人はいつしか、重信の殺された所に導かれていた。きせはそこで正介の死骸を発見、浪平の騙しに気づき、斬りかかった。きせは、深傷を負いながら、亡霊に介添され、恥辱を晴らした。間もなく、きせもこと切れた。きせの体から浮び上った亡霊と、重信の鬼火が、真与太郎の成長を祈るように舞い飛んでいた。

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