劇場公開日 1972年8月12日

「年少兵達が浮かばれる為に」海軍特別年少兵 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5年少兵達が浮かばれる為に

2020年10月6日
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鑑賞方法:VOD

エヴァンゲリオンの子供達が14歳である理由は、本作の子供達が14歳で海兵団に入隊するからではないでしょうか?
自分にはそうとしか思えません
庵野秀明監督は他作品で沖縄決戦のオマージュを入れているくらいですから

本作の今井正監督はご存知の通り共産党員です
ですから本人の思想信条が当然本作に反映されています

こんな子供達まで戦争に駆り立てた戦前、戦中の軍国主義国家を非難する事がテーマです
その演出力は高く見応えはあります
それ故に、簡単にその様に洗脳されるかも知れません

とはいえ本作から既に50年近くもの年月が経ちました
21世紀の視点から本作を観ると一体どう感じるものなのでしょうか?

かっての日本は帝国主義で軍国主義国家だから?
カンボジアの中国共産党の手先となった毛沢東主義者のポル・ポト派は本作よりも年少の子供達を兵士として戦わせことを私達は知っています
キリングフィールドは中国の文化大革命を手本にして、子供達を手先にして起こされたものだと私達は知っています
それも子供達を親から強制的に引き離して教育したのです
そこには罰直主義なぞ生温く感じるほどの世界があったことを私達は知っているのです

共産主義国家も、戦前の大日本帝国以上の全体主義かつ軍国主義の強権独裁国家になりうる
むしろ帝国主義的行動を起こすことを知っています
むしろそうなった国の方が殆どであったことを、私達は知っているのです

共産主義国家が平和勢力だなんて、大笑いする程の嘘ぱちであったことは明らかなのです

21世紀に生きる私達は、本作の今井正監督が提示しようとしたテーマを、このように相対的に観る事ができるのです

そして21世紀の現在、我が国の隣の大陸にある
共産主義国家の大国は、帝国主義的で軍事独裁国家の正体をいよいよ現して来ているではありませんか

香港の自由を求める人の叫びは、本作の三国連太郎が演じた父親とどこが違うのですか?

大日本帝国の亡霊が乗り移っているとしかおもえません

私達が日本人が先の戦争を反省するなら、何をなすべきでしょうか?
それは大日本帝国の亡霊を打ち払うことです
その亡霊が他国で蘇ろうとするなら、亡霊と戦い成仏させてやることです

それこそが、この年少兵達が浮かばれることだと思います
21世紀の日本人がするべき責任の取り方はそれだと思います
その責任を果たしてこそ、年少兵達は浮かばれると思います

海軍特年兵之碑は、東京原宿の東郷神社の鳥居に入る手前にあるといいます
全く知りませんでした
今度近くを通りかかったなら、手を合わせたいと思います

この碑が建立されたのは1971年5月のこと
高松宮殿下妃の御台臨での除幕式が行われたそうです
本作公開は1972年8月
この碑がきっかけで企画されたのかも知れません

あき240