劇場公開日 1954年3月16日

「戦後の腐敗・堕落を強調し、男女間の道徳など封建的な考えを演説する教師たち。」女の園 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦後の腐敗・堕落を強調し、男女間の道徳など封建的な考えを演説する教師たち。

2021年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 学生の中でも芳江(秀子)は高校卒業後に社会人してたおかげで勉強が遅れがち。消灯後も勉強させてくださいと頼む彼女がかわいい。一方、明子(久我)は学生運動のリーダー格。アカと言われるも先生(三枝子)の過去の恋愛を知り、かなり優位にたっていた。

 芳江が学生運動とはちょっと離れて目立っていたのが愛らしい。失踪したり、恋に落ちたり、今の時代にもいそうな雰囲気。恋の相手下田はこの映画がデビューとなる田村高廣。しかし学校側の圧力により自殺に追い込まれた芳江。学生の結束を分断しようとする目論見も逆効果となってしまった。

 たかが学生の自主性を訴える運動であったかもしれないが、封建的な学校では画期的なことだった。ちょっとしたことでも“アカ”や“共産党”と罵られ、ただただ良妻賢母となるように育てられる大学そのものがおかしい。ラストに団結する女子学生の姿の昂揚感は胸揺さぶられるシーンであるが、途中のストーリーにそれほど燃えるものがないのが残念。と感じるのは時代の差かもしれないが・・・

kossy