「TVドラマの劇場版の金字塔!」踊る大捜査線 THE MOVIE しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
TVドラマの劇場版の金字塔!
"踊る大捜査線(劇場版)" シリーズ第1作。
地上波初放送を鑑賞。
初鑑賞は小学校に上がる前。ストーリーが殆ど分からなかったので、青島くんが刺されるシーンばかり観ていました。たぶん人生で初めて観た、主人公が負傷する作品の気がします。
衝撃的でした。流れる血の量が多いんですもの。不意を突かれるとはこう云うことなんだなぁ、と…。今でもそのシーンが近づくと胸がざわざわして落ち着かなくなります。
時系列的に「秋の犯罪撲滅スペシャル」を経ているので、青島くんと室井さんの関係が悪かったり(ラストは胸熱!)、すみれさんが「査問会で減給になっ」てぶうたれているなど、TVシリーズと陸続きの要素が盛りだくさん。しかしどれも些細な描写に留まっているので、昨今溢れる一見さんお断りな劇場版になっていないところに好感が持てました。
所轄と本庁(警視庁)の確執、キャリアとノンキャリアの格差と云った、TVシリーズから引き続きのテーマもより深く掘り下げられていて、単なる刑事ドラマの枠に囚われないお仕事ドラマとしての面白さも残っているのがすごい。
流行語にもなった名ゼリフ―「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」。何回聴いても体の芯から痺れる。想いのこもった言葉ほど強く響くことの証明かと…
現場について何も知らず、会議室と云う現場から遠く離れた安全地帯からああでもないこうでもないと指示を出し、部署間の縄張り争いや自らの権力争いを持ち込み混乱に陥れる。
青島くんの言葉に決意を固め、現場へ向かう室井さんのカッコ良さが尋常じゃ無い。どこへ行くのかの問いに「現場だ」と応えた室井さんにコートを渡す新城さんにも痺れました。
TVドラマの延長戦上の感じは拭えません。しかしながら、随所に映画的演出が光り(シネスコを意識したカメラ・ワークやハリウッド大作みたいな壮大な音楽)、キャスト・スタッフが一丸となって楽しみながらつくった作品と云うことが感じられて、観ているこちらまで楽しくなって来ました。
当時普及し始めていたインターネットが現実世界と密接に関わり、本作のような事件が生まれる要因となりました。
今となっては結構ありふれている設定ですが、当時としては斬新な部類に入る着眼点だったのではないでしょうか?
日本の将来暗いなと思わせておいて、再起しようとする青島くんの力強い姿に一縷の希望を見出すことが出来ました。
[余談1]
日向真奈美がサイコ過ぎ。今観てもめちゃくちゃ怖いし不気味です。あのキョンキョンが「手術してやろうか」ですもん。
拘束されている姿はまるでハンニバル・レクター博士。青島くんにアドバイスをくれた後の高笑いが印象的でした。
[余談2]
何回観ても飽きずに楽しめるのは、本筋を理解した後でも、随所に仕込まれた小ネタを探す楽しみがあるからでしょう。
見つけたらより面白くなる。シーンの隅々に目を凝らすといろいろな発見があり、マニア心をくすぐるやり方が絶妙!
[追記(2019/05/27)]
偶然「セブン」を観た後に鑑賞したので、同作にオマージュを捧げているシーンに気づくことが出来ました。
[追記(2020/06/23)]
今更ながら気づいたこと。
3つの事件のキーワードは先入観?
[以降の鑑賞記録]
2000/10/07:ゴールデン洋画劇場(完全版)
2002/01/05:ゴールデンシアター
2003/10/04:プレミアムステージ
2005/10/15:プレミアムステージ
2007/10/12:金曜プレステージ
2009/07/11:土曜プレミアム(織田裕二傑作選)
2011/? ?/? ?:DVD
2012/10/20:土曜プレミアム
2013/? ?/? ?:DVD
2016/? ?/? ?:DVD
2019/05/27:DVD
2019/11/10:DVD
2020/06/23:FOD
※修正(2023/08/27)