劇場公開日 1978年8月5日

「寅さん流SKDレビューの開幕!」男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5寅さん流SKDレビューの開幕!

2019年5月26日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

幸せ

シリーズ21作目。

OPの夢は、寅さんは実は宇宙人! 迎えがやって来て、とらやの面々と別れを惜しみつつ、帽子型の宇宙船に乗って去って行く。
『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』など空前のSFブームの年に公開されたパロディー。

序盤の騒動は、
おいちゃんが体調を崩す。
帰ってきた寅さんと真剣にとらやの将来について話し合うが…、
途方も無い夢みたいな事を語り出し、皆を呆れさせ、大喧嘩。
途中まではいい考えだったし、今のとらやをぶっ壊してビル工場にして全て機械化するというのは現代的ではあるんだけどね…。

旅は九州・阿蘇の温泉宿へ。
そこで女の子にフラれてばかりの青年・留吉と出会い、彼に人生や恋のアドバイス。
何故か寅さん、この町で“先生”と慕われるも、宿賃が無くてさくらに迎えに来て貰う。もはや何度目…?
『幸福の黄色いハンカチ』に続き山田作品参加の武田鉄矢が、方言丸出しのモテない田舎青年役で笑わせる。

反省し、とらやで真面目に働く寅さんだったが、当然長続きせず。
ある日とらやを訪ねてきた美女に一目惚れ。
さくらの幼馴染みで、SKD=松竹歌劇団の花形踊り子・奈々子。
今回は戦前戦後にかけて浅草の娯楽のシンボルであったSKDのレビューの世界が舞台。
華やかできらびやかにショーアップされたレビューの魅力がたんまりと。
自分はよく知らぬが、宝塚やアイドル公演みたいな…?
マドンナは、木の実ナナ。さすがの歌声や踊りを披露、ナイスバディで快活な女性役はハマり役。

奈々子とSKDのレビューにすっかり魅了された寅さんと、上京して来た留吉。毎日のようにレビューに通う。
まるで何とか48の公演にハマるヲタクそっくり…?
話の展開的には定番。
奈々子にのぼせ上がるが、彼女には結婚を考えている恋人が。
劇場の取り壊しが決定。私は、踊りたい、歌いたい!
自分の幸せか、自分が好きなこの世界か。
決意し、万感の思いと共に舞台の上で熱唱する奈々子の姿には胸熱くさせる。

ゴージャスなレビューの世界は寅さんの作風には珍しいが、そこはしっかり寅さんエッセンスとミックス。
ラストシーン、田舎に戻ってフラれ続ける留吉と訪ねてきた寅さんのオチに安心感。

近大