「緑茶と米の相性」お茶漬の味 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
緑茶と米の相性
白米に緑茶をぶっかけただけでは正直微妙だと思うのですが、ぬか漬けなどの塩気があれば美味くなります。夫婦の間柄を上手くとり持つ「ぬか漬け」は、子供の存在だったり、思いやりだったりで、「intimateな primitiveな、遠慮や体裁のない、もっと楽な気安さ」の先にある夫婦のあり方はお茶漬けの味なのだと。
いずれ冷める恋愛感情やそれまで培ってきた価値観よりも、相手をよく知ることが大切であって、お見合い結婚だろうとそこは変わらないと。当たり前と言えば当たり前で、結婚に限ったことでもないです。よく知った結果上手くいかない関係もあるでしょうし。肝は適当な「ぬか漬け」が見つかるかどうかです。
子供のいない妙子は、住み込みのお手伝いも居て、裕福な実家から送金もあって、夫の茂吉は飲む打つ買うから程遠く、真面目で勤勉で寛大で優しい。友人と温泉旅行やら野球観戦やら遊び放題。一体何が不満なんだ?!茂吉の食事の行儀は悪いにしても、そこまで怒ることでもないだろうにと思いました。お見合いから逃げまくる節子の子供っぽさと大して変わらないです。
会社の社長を大川君呼ばわりする義父(妙子の父)は、恐らくかつての重役なのでしょう。茂吉が妙子に頭が上がらないのも理解できます。かと言って何か他のことで鬱憤を晴らす人でもないので、我儘な妙子にはぴったりなのです。義父も娘にはこれくらい寛大な男でないと無理だろうと分かっていて、お見合い相手として選択したなら大正解ですね。
若者よギャンブルなんか程々にしろ、女房は我慢しろ、旦那の甲羅干しだけ見てるんじゃない(^^)、など言いたいことは分かりやすいです。
「東京暮色」では親子の関係をprimitiveと表していましたね。
小津作品を観ると、当時の東京の空の広さに驚きます。最初と最後がまるでヨーロッパのような景色。
笠智衆はどの作品でも同じような人物(というかいつも同じような性格の役)に見えたのですが、本作ではパチンコ屋の主人という意外な役で、無精髭を生やし別人でした!
佐分利信の渋くて超優しい旦那様ぶりをたっぷり観れて満足でした。君はそのままでいいと言ったり、着物の袂を濡れないように持っていてくれたり、慣れない包丁を心配してくれたり…(*゚∀゚*)。
所で “The Flavor of Green Tea over Rice”って…
絶対想像付かない(^_^;)。