劇場公開日 1969年7月26日

緯度0大作戦のレビュー・感想・評価

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3.0①「海底二万マイル」の焼き直しみたいな…

2023年11月17日
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①「海底二万マイル」の焼き直しみたいな…

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もーさん

4.0日本の特撮映画は明日はどっちだ!状態へ

2020年3月1日
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鑑賞方法:DVD/BD

1969年7月公開

1969年は特撮界にとってどんな年であったか?

まず正月映画は、東宝特撮は怪獣映画も特撮映画も1本もなし
こんなことはかって無かった事です

他社は東映が日米合作でガンマー第3号 宇宙大作戦を公開しているのみです
これは宇宙SFもので宇宙人はでますが怪獣はでません
怪獣映画は1本も有りません

予算規模が大きくなる怪獣映画は急速に斜陽化する映画会社にとり負担が大きいということなのです

怪獣ブームは終わりつつありました
ウルトラセブンは前年の1968年9月に終了しました
最初は視聴率も絶好調でしたが、中盤落ち込んでしまい、終盤になってなんとか盛り返すような状況です
後番組は妖怪ブームに関連させた怪奇大作戦ですが人気が出ません

もはや怪獣映画を作ろうという雰囲気は映画界から消えてしまったのです

唯一大映だけが、前年のガメラ対バイラスが予算規模を大幅に削られながらも、子供向けにシフトしたのが支持されヒットしたのを受けてこの1969年も3月に新作ガメラ対大悪獣ギロンを公開します
しかもガメラは米国のテレビ局への放映契約を得ていたので大映も製作を継続できたのです

そんな中、米国のプロダクションから東宝に共同製作の話が舞い込みます

米国ではこの時期、物価や人件費の安い海外での撮影が流行していました
現代のIT 業界でシステム開発を中国やインドとかでやるオフショアと同じ考え方です

製作費は折半の美味しい話ですから、喜んで東宝も乗ります
ところがこのプロダクションが撮影開始後、途中まで撮ったところで倒産してしまいます
打ち切りっても損がでるだけなので、仕方なく残りを東宝の全額出資で完成させるしかなくなり、それでなんとか完成をみたという作品です

内容は米国側の持ち込み原作です
基本海底二万哩の翻案です
怪獣はでません
外国人俳優も今までの日本映画に出演してきた外国人俳優てまはなく、ハリウッドの作品にもまあまあ出ていたクラスの俳優で、外見の見た目も演技もそこそこですから雰囲気も洋画的になりました

アルファー号は海底二万哩のノーチラス号です
ふしぎの国のナディアのノーチラス号は本作のアルファー号の影響を受けています

形状はマイティジャックのマイティ号の雰囲気を残しています
マイティジャックは1963年の海底軍艦の現代版と言えるもので、1968年4月から1時間番組としてテレビ放映が始まったのですが、視聴率が極めて悪く6月末にワンクール13回で打ち切りになった伝説の番組です
サンダーバードの強い影響を受けて大人向けストーリーで展開した意欲的な作品だったのですが、視聴者には受け入れられなかったのです

仕方なく30分番組に短縮し内容も子供向けにして一部怪獣もだすようにして年末までの26話放映して終了しています

東宝特撮としてはこのリベンジとしての側面も有ったように思います
外光の下、側面の水中をも撮れるプールを使っての洋上や水中シーンは素晴らしい出来です
マットアート合成を駆使した緯度ゼロの海底都市も垢抜けています

しかし後半になると、クォリティーは一挙にダウンします
製作費が全額東宝持ちになったので急ブレーキがかかったと思われます
コウモリ人間、ライオン、大ネズミ、グリフォン
思い出すのも情けないものです
悲惨です
後の初代仮面ライダーの怪人より劣ります

というかショッカーと怪人の元ネタは本作のマリクだと思います
マリクの部屋には大きな鷲の紋章が飾られ、怪人を手術して作り出すのです

しかも、この手術のモチーフは1966年の東映の海底大戦争から実は来ていると思います
東映は本作を観てパクられたと気が付いたと思います
仮面ライダーはもちろん石ノ森章太郎の原作ですが、このショッカーは本作からの意趣返しであったのかとも勘ぐれます

ともあれ本作の興行は大失敗に終わります
海外公開もほぼ無くなります

こんな状態で海外の新しい特撮の流れに対抗するとかできるはずもなかったのです

一方、東宝の特撮映画は戦争ものの系譜もありました
日本海大海戦が本作の半月遅れの8月に公開されています
特技監督は円谷英二です
しかしこの路線も翌年1970年1月の彼の死去で風前の灯火となるのです

日本の特撮映画は明日はどっちだ!状態に陥ることになったのです

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あき240

3.5他愛もないSF冒険活劇…されど、夢やロマンがある!

2014年1月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

1969年の日米合作による東宝特撮作品。

東宝特撮晩年の作品だからか、他の作品と比べると圧倒的に認知度は劣り、興行的にも失敗、かく言う自分も東宝特撮好きでありながら見たか否か記憶があやふやで、ほとんど忘却の彼方にあるが、今回たまたま機会があり見てみたら…、普通に面白いじゃん。
“SFアドベンチャー”と言うより、“空想科学冒険活劇”と称した方がぴったり。

海流調査中、博士たちは海底火山の噴火に巻き込まれ、国籍の無い船に助けられる。船が到着したのは、海図に無い“緯度0”。そこは、科学が進み、争いの無い海底世界のユートピアだったが、世界征服を企むマッドサイエンティストとの戦いが続いていた…。

童心ワクワクの設定、世界観、ストーリー。
同じ東宝特撮なら傑作「海底軍艦」を彷彿させ、ドラえもん映画の「海底鬼岩城」をも思い起こさせる。
最後まで結構楽しんで見てしまっていた。

某映画データ本では、“円谷英二の特撮が不調で失敗作”と書かれてあったが、そんな事はなかったぞ。
冒頭の海底火山、アルファー号と黒鮫号の海中戦…円谷特撮はしっかり見せ場を作る。
おそらく評価が低いのは、グリフォン、コウモリ人間、大ネズミのモンスターたち。
グリフォンとコウモリ人間は、欽ちゃんの仮装大賞レベル。さすがにあのぬいぐるみ感丸出しはね…(^_^;)
拉致された博士の娘はそのぬいぐるみを見て、ご丁寧にキャーキャー喚く。
でも、それがメインじゃないんだから、あんまり言わないで〜!(笑)

日米合作なので、従来の東宝特撮常連俳優に加え、ハリウッドスターも出演。(「第三の男」のジョゼフ・コットンら)
見ながら、今また日米合作でSF冒険活劇が作られたら…と、そんな期待と夢を抱いた。

スタッフに、製作・田中友幸、監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二、脚本・関沢新一、音楽・伊福部昭の“ゴールデン・チーム”。この5人が揃った最後の東宝特撮作品でもある。

人間ドラマは、基本は青少年向けだが、科学や平和を問うた大人向けの要素も。
ラストは、意味深でブラックな終わり方。東宝特撮の中でも極めて異色。

他愛もない冒険活劇と言ったらそれまで。
でもジョージ・ルーカスだって、他愛もない冒険活劇を目指して作ったのが、「スター・ウォーズ」である。
もしアナタが、まだ童心を失っていないのなら、オススメしたい作品である。

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近大