劇場公開日 1968年9月7日

兄貴の恋人のレビュー・感想・評価

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4.5さすが森谷司郎監督の作品と言える傑作

2020年3月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

素晴らしい傑作
若大将シリーズみたいなアイドル映画だろうと舐めたらいけない
黒澤監督の下で4作もチーフ助監督を務めた森谷司郎監督です
手際良く効果的な演出と無駄のない編集でグイグイ観客を引っ張っていってくれます

兄妹の密かな禁忌な関係性を冒頭から説明します
その二人がそれぞれ精神的な自立をして成長を遂げていく物語です

終盤にピアノの先生がレズビアンの本性を現したときに、妹は自身の異常さに気付かされます
大きな貨物船が波をけたてて進み、ジェット旅客機が急角度で離陸していく光景は、彼女が考えを巡らして心境が変わり、決意に至ったことを見事に映像で表現しています

兄もまた、恋愛は恋愛、結婚は結婚とドライなことを言っていますが、本当の恋愛を知らないだけの未熟な男なのです

揺れる満員電車の中で妹を守るように抱きしめるシーンがあるのです
妹の彼氏の主人公の後輩は、先輩は少し異常だとまでいうのです

条件の良い見合いが幾つも来るのに踏み切れないのは、実は両親と妹との生活に不自由がないからです
異性への渇望がないのです
その彼も結婚から逃れられないとなった時に初めて、恋愛というものに気付かされ成長していくのです

挫折を知ったとき彼は更に成長したのだと思います
新宿のバーむさしのでの父とのシーンは心に残るシーンです

丸ノ内の本社に通っていた時はオレンジ色の中央線快速電車でした
そして、ラストシーンに写るのは代々木駅で中央線と別れて進む各駅停車の緑色の山手線です
しかも妹は普段は新宿で降りて大学に通うことが冒頭で説明されているのです

つまり、これから主人公は妹や家族から自立を遂げ、地に足をつけて九州という新天地で、ようやく結婚を承諾してくれた和子と結婚生活を送り、地道に暮らしていくのだろうという映像表現です

気持ちの良い余韻が胸一杯に広がりました

加山雄三は女性がみんな狙うエリート商社員そのものです
酒井和歌子の細いこと、可憐なことヒロインにピッタリの配役です
妹役の内藤洋子も、素敵な兄を独占したいという妹としての説得力があります
他にもお見合い相手の中山麻里を初め、脇役陣の配役も素晴らしく、演技も良い仕事をしています

劇中歌も当時のヒット曲の歌謡曲が場面の説明として上手く挿入されています

さすが森谷司郎監督の作品と言える傑作です

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あき240

3.0隠されたテーマ

2016年8月3日
Androidアプリから投稿

思いを寄せる和子と妹の節子の容貌がどことなく似ており、兄に思いを寄せる節子との禁忌的な愛のテーマが隠されているようにも観れる

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とも