劇場公開日 2009年8月22日

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「久々に怖い吸血鬼映画、登場!」30デイズ・ナイト 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5久々に怖い吸血鬼映画、登場!

2009年8月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

白い流氷に浮かぶ黒い船。曇り空の下、雪の丘を歩く男。オープニングから白が強烈に映える映像の美しさに驚かされた。
全編を通して映像へのこだわりを感じさせる本作だが、除雪車を利用した一大バトルやクライマックスの炎上シーンなどの派手な見せ場にもそれは貫かれていて、特に吸血鬼達による殺戮の様子を俯瞰で見せるショットは圧巻。陰惨なシーンでありながら、白い雪面に拡がる赤い血や時折瞬く銃の火花は美しくすらある。

吸血鬼の描写も独特。ぱっと見では人間とそうそう変化無いのだが、顔の骨格が猛禽か何かのように少し歪んでいる。これがかなり薄気味悪いのだ。動きも俊敏。獣のように群れて狡猾に狩りを行う様子がメチャクチャ怖い。

だが吸血鬼のリーダー格にまるで威厳が無いのが残念(銀行員のオッサンみたい……)。30日間に及ぶサバイバルなのに時間経過があまり感じられないのも不満。無闇に物音ひとつ立てられない生活を延々強いられるのだから、主人公らが徐々に憔悴していく様を見せてほしかった。

細かな不満はあるが、緊張感と絶望感が全編を覆う水準以上のホラーに仕上がっている。最近はヒーローぽい吸血鬼が増えたけど、やっぱり吸血鬼映画は怖くなきゃね。

浮遊きびなご