劇場公開日 2008年2月2日

「乙一がいくら和製スティーヴン・キングと称されているからといって、冒頭から「スタンド・バイ・ミー」をかけるとは・・・」KIDS kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0乙一がいくら和製スティーヴン・キングと称されているからといって、冒頭から「スタンド・バイ・ミー」をかけるとは・・・

2019年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 冗談なのか、本当に和製スティーヴン・キングとして祭り上げたいのか理解しにくいところでしたが、最終的には男の友情を感じる作品になっていました。男2人と女1人が中心になってることや、栗山千秋が最初からずっとマスクをしているので、また薬剤師の役?と、最初は違う映画まで思い出してしまい、そのマスクの下が気になりつつ物語は進んでいきます。

 ある日荒んだ町にやってきたアサト(小池徹平)はタケオ(玉木宏)の目の前で超能力(=テレコキネシス)を使ってしまいます。それに興味を持ったタケオは不良に絡まれているアサトを助けた際、人の傷を自分に移す能力まで持ってることがわかる。物を動かすことが出来るんだから傷くらいお茶の子さいさいです。だけど、アサトは能力を悪いことに使おうとはしない・・・喧嘩に明け暮れているタケオだったが、なぜかピュアなアサトに惹かれていくのです。

 タケオも傷害で捕まったこともあったのですが、なんとアサトも母親を刺した罪により保護観察中。そして顔に傷を負ったシホとの関係が絶妙なタッチで描かれる。単純なプロットのようでもあり、親子の確執、そして復讐の連鎖など、考えさせられることが多いのです。また、顔の傷を治すことも簡単なのに、その治療がもたらす結果とか。全ては3人の友情に絡んでくる。なにしろ3人とも「初めて友だちができた」のですから・・・なかなか考え付かないです。

 クライマックスの交通事故のシーンはさすがに胸が熱くなってきて、火災が起こった瞬間にこちらまで息苦しくなってくるほど。なんだか『パッション』を思い起こすほどの痛々しさだったのです。そして、斉藤由紀の一言がきつい!グサっときました。なんだかアサトの心の傷が観客席まで移ってしまうような・・・ちくしょー、超能力使いやがったな・・・てな感じでした。最後はちょっと好きじゃなかった。もっとキングキングしてほしかったです。

kossy