劇場公開日 2008年6月7日

「笑えます。三谷監督本人も「思い通り」だそうです。」ザ・マジックアワー 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5笑えます。三谷監督本人も「思い通り」だそうです。

2008年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

三谷幸喜の監督作品第四弾。今回は、これまで以上に笑いが込められています。

ほとんど主役級の役者たちが、ほんの端役程度で出てくるのが、三谷作品の一つの見所。今回は劇中映画(そのうちの一つの監督が市川崑)が何本かあるんですが、それらには、唐沢寿明(まぁ、彼は三谷組なので当然ですが)、中井貴一、天海祐希、鈴木京香、谷原章介、寺脇康文と豪華なメンバーが出ています。ネタバレですが、谷原章介の役どころが、佐藤浩市演じる村田大樹が俳優を目指すきっかけになっていて、しかも、その後にも、繋がっていたりしています。

劇中映画にもきちんとタイトルが付いているところが面白いです。市川崑監督、中井貴一、天海祐希出演のものが「黒い101人の女」、鈴木京香、谷原章介、寺脇康文が出ているのが「暗黒街の用心棒」、唐沢寿明が出るものが「実録・無法地帯」。それぞれ、実際の作品のパロディだったりします。

これまでの4作品で、一番、笑いが多かった気がします。上映中、劇場内に何度も笑いが起きていました。実際、三谷監督自身も「4本目にして、ようやく思い通りの作品が出来ました。」と言っているようです。実際、ちょっと長いかな(市川崑監督も「なかなか良く描けている。でも長いな」と言ったとか)。最後の方は、ちょっと集中力が途切れてしまいました。

佐藤浩市のキレ気味の演技が良いです。ギャングを演じてるときと、演じ終わったときのギャップが何とも言えないですね。それと、妻夫木聡のインチキ臭いチンピラも珍しいです。爽やかなんですけどね。戸田恵子も出番は、今回は少なめです。それでも、きちんとおいしい所は持っていっています。深津絵里も見事に妻夫木聡の彼女(って言うか、西田敏行の愛人役だけど)を演じています。完全に、妻夫木聡を翻弄していましたね。でも、彼女、妻夫木聡とは結構の年齢差があると思うんですけどね。むしろ、綾瀬はるかの方が歳は近いのでは?(失礼!)しかし、なんと言っても、伊吹吾郎が意外に良いです。印籠を出さないかと心配しましたが。それと、実は彼が謎の殺し屋『デラ富樫』だと思っていたんですが、全然違いました。

三谷幸喜が「思い通り」と言ったとおり、彼の好きなコメディーにきちんと仕上がっています。あとは、もう少し短ければ・・・。これは、市川崑監督の生前最後の出演となった作品。映画の冒頭に、市川崑監督に捧げる言葉が出ていました。

勝手な評論家