劇場公開日 2006年12月23日

「人生って、素晴らしい!!」ヘンダーソン夫人の贈り物 mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人生って、素晴らしい!!

2008年5月29日

楽しい

知的

萌える

 『イギリスに初めてストリップ劇場を作った、夫人の物語』←こんな、とてつもなくエエ加減な予備知識をもったまま、この映画を観てしまいました…。これがなかなかどうして、素晴しい“人生賛歌”でございました。

 冒頭のような軽い気持ちで観に行っちゃったんですよ。で、途中までは結構ホノボノとしてまして、“古き良き時代のヨーロッパ・ホームコメディ”てな感じで、時折“クスッ”と心温まる笑いも惹き出されておりました。ところが中盤以降…即ち、戦争(この場合、第2時世界大戦=対独戦争)が烈しくなり、ロンドンが空襲にさらされるようになるあたりから作風がガラリと一変。戦争が生み出す悲劇を描きながら、“生きることの素晴らしさ”を映画の中で説いていきます。特に安全性を考え、劇場の閉鎖を通告に来た政府の長官と、劇場前で順番を待って並ぶ兵隊たちに向けて、ヘンダーソン夫人が何故劇場を買取り、ヌードレビューを見せようと思ったかを語るシーンには、思わず涙してしまいました。夫人の言葉は、純粋な男たちの想いを見事に言い当て、なお且つ母親のような愛情で包み込んでくれています。このシーンは、ホントに素晴らしい!!

 男(兵士)は、女性につかの間の安らぎを求め、女性はそれを優しく受け止める。やがて男は、戦地へと旅立つ…。現代のような殺伐とした時代に生きる我々に、“純粋に生きていく人生”が如何に素晴らしいかを、この映画は教えてくれます。
 映画の中で、劇場のシーンとして描かれる数々のレビューのシーンは、見ていてとても心が躍らされます。そして互いに憎まれ口をタタキながらも、それぞれを“パートナー”として認め合い“劇場”という舞台で“人生”という芝居を演じたヘンダーソン夫人と、支配人・ヴァンダム。この主役を演じた2人の“大御所”ベテラン俳優、ジュディ・デンチとボブ・ホスキンスの骨のある演技合戦も、この映画の見所です。

mori2