劇場公開日 2006年9月16日

「少年犯罪や少年法を訴えた社会派ドラマかと思ったら…」太陽の傷 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0少年犯罪や少年法を訴えた社会派ドラマかと思ったら…

2019年11月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

単純

哀川のアニキが親父狩りの現場に遭遇。
さすがはアニキ、見て見ぬふりは出来ず、平凡なサラリーマンでもクソガキどもをボコボコにする。
が、警察に未成年への暴行行為として連行されてしまう。
これが、悲劇の始まり…。

リーダー格の少年の恨みを買い、妻がちょっと目を離した隙に(男と会っている間に)娘が居なくなり、少年に殺されてしまう。
少年は逮捕されるが、マスコミの誤った報道により事の発端はアニキにあるとして、世間からバッシングを浴びる。
それに耐え切れず、妻は自殺。
男は全てを失い…。

不条理極まりない“少年犯罪”と“少年法”。
少年とは言え犯罪を犯したら、それは犯罪だ。ましてや人を殺したら、殺人だ。
それが少年法という不可解なもので守られる。
やり場の無い怒りや苦悩に喘いだ被害者遺族はどれほど居る事だろう。

世間なんて上っ面の同情だけで、実際は全くの無関心。
それどころか、否が見付かれば、徹底的に袋叩き。
そもそもは暴行を受ける浮浪者を助けたのに、マスゴミはそれを一切無視し、大人の未成年への一方的な暴行と報道。
恨みを買われて当たり前。自業自得。自分が招いた悲劇。…
晒し者になったら終わり。警察もマスゴミも世間も、誰も味方なんて居ない。理解もしてくれない。助けてもくれない。

少年院では模範囚として、謝罪の手紙も送り、幼い命を殺したのにたかだか1年ちょっとで釈放。
こっちは全てを失ったというのに…!
“未成年”だからと法律で手厚く擁護される。
でも、本当に更正しているのか…?
少年法に守られる憎き少年に、執拗に会おうとするが…。

考えさせられる内容ではある。
擁護側の対応は本当に腹が立つ。
全てを失ってからは白黒映像になり、主人公の晴れぬ心の内を表しているかのよう。
見応えはあったが…、しかし傑作には成り損ねた。
確かに考えさせられる内容ではあるが、訴えも描写も少々過剰な気も。
家族を奪われた主人公に対し、誰も同情的にならないというのがちと理解し難い。不条理な現実世界でも、本当にそんな風になったりするかなぁ…?
社会派ドラマのように見えて、主人公の狂気や暴走、リベンジ・サスペンスやバイオレンス・ドラマの作風、ラストは銃撃戦、殺し合い…。

そうつまらなくはなかったが…、何か所々リアリティーに欠けて惜しいと言うより、残念。
三池崇史監督と哀川翔のタッグ。
まあ確かにこのタッグで正統派の社会派ドラマにはならないわな…。

近大