アタメのレビュー・感想・評価

①アルモドバル監督、また一皮剥けたかな、という感じ。②作中に懐かしの名画(？)が出てくるのはいつもと同じ。今回は劇中でB級ホラーを撮っているという設定からか、「The Invation of the Body Snatcher(旧い方)」のポスターと、「The Night of the Living Dead」の最初の部分。③映画を観ているうちに何かの映画ににているなぁ、と思ったら、そうそう監禁された女が監禁した男に惹かれていくところはロバート・レッドフォードの「コンドル」とそっくり。「コンドル」は監禁されたフェイ・ダナウェイ扮する女が監禁する男に引かれていく心理的背景に女が隠し持つマゾヒズム志向や厭世感を男が見抜いたというのか一因という捉え方もできるが、こちらはそれほど複雑ではなくリッキーの境遇と純情にマリーナがほだされたという形になっているけれども、マリーナにマゾ気がなかったとは言えまい。④劇中でドイツ人とスペイン人との気質の違いをおちょくったようなケッサクなコマーシャルが流れるシーンがあるが、ラストの監禁男を家族に迎えるところで持った「如何にもスペインらしいおおらかさ(というかええ加減さ)」という感慨の良い伏線になっていたように思う。