劇場公開日 2006年6月10日

「売人にヤクを売るゲーム!殺されたら減点だ。」インサイド・マン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0売人にヤクを売るゲーム!殺されたら減点だ。

2019年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 人種問題を描いた映画が得意なスパイク・リー監督。人質になった銀行関係者とお客さんにも多種多様な人種を取り揃えました。とにかく人種だけは国際的すぎるため、ココはいったいどこ?と迷子にならないように注意しなければなりません。ところが、誰が犯人なのかと警察で一人一人取り調べを受けるシーンではわかりやすくて助かりました。

 この一人一人の証言シーンといえば、大林宣彦監督の『理由』を思い出してしまいますが、そこまで多い人数ではありません。プロローグとエピローグにクライブ・オーウェンの独白シーンを配置する効果とともに、犯行の流れに随時挿入する形をとるといった手法。意外とこれが緊張感を保つのです。そして、計算しつくされた完全犯罪とはどういうものか、彼らの脱出の手口とはどうやって・・・などと、かなりハラハラさせられます。

 もっともクライム・ムービーなので、犯人側に感情移入できないのじゃないかと心配される方でも大丈夫。襲われた銀行の会長、創設者はナチスに協力して巨額の富を得た人物なのです。血が流れるところに金儲けのチャンスがあるとばかり、武器商人のごとく暗躍した実業家の裏世界。もっと悪い奴らがいることを訴えつつ、犯人グループだって人質をなかなか殺さないし、このまま人を殺さないでくれ!と祈る想いになったしまいました。

 最終的な脱出方法はイマイチだったし、ジョディ・フォスター演ずる弁護士にもちょっと疑問符がつけられる。また、若干謎を残したままというのもすっきりしないのですが、そのマイナス部分を差し引いてもお釣りがくるくらいの心地よい緊張感を味わえた。

 登場人物50人を覚えられるか?!と、挑戦的な映画でもありましたけど、軽い気持ちで笑いながら観るのがいいのでしょうね。

kossy