「時間がくれる、ささやかな“選択”の価値」時をかける少女(2006) 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
時間がくれる、ささやかな“選択”の価値
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アマゾンプライムで「最近追加された」のところに出てきたので改めて見ることに。
ベストセラー小説が原作の作品でもあり、若い頃に観て心に残っていたため、このタイミングで“今の自分なら何を感じるのか”を確かめたくなりました。
今作で改めて印象に残ったのは、主人公・真琴の無邪気さと後悔の積み重ねが、時間の巻き戻しによって浮き彫りになる構造です。特に、些細な失敗や気まずさを避けるために時間を跳ぶシーンは、誰もが経験する「もう一度やり直したい」という願望そのものだと感じました。しかし、やり直せばやり直すほど、本当に大切なものが見えなくなっていく。その“気づきのプロセス”が丁寧に描かれていて、青春映画でありながら深い哲学性を帯びています。ラスト近く、千昭が未来に帰らなければならないことを告げる場面は何度見ても胸に迫ります。時間旅行というSF設定を通じて、「人は誰かとの時間を永遠には共有できない」という当たり前の事実を静かに突きつけてくる瞬間でした。
事業家としての視点で考えると、この映画は「選択の重要性」を鮮明に思い出させてくれます。未来が見えないからこそ、いま目の前にある瞬間を全力で選ぶべきだということです。仕事でも人生でも、“時間の巻き戻し”は存在しません。だからこそ、自分の行動が誰かの未来にどう影響するのかを想像しながら意思決定していくことが大切だと改めて感じました。
ふと立ち止まったとき、この映画は静かに背中を押してくれる存在だと思います。
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