劇場公開日 1979年7月7日

「ジョン・ウェインの遺作」ラスト・シューティスト kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ジョン・ウェインの遺作

2021年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 どんなに嫌いな悪党でも死ぬ際には敬意を払わねばならない。このドラマと同じようにジョン・ウェインは好きじゃない。遺作となれば格別の思いで見てしまう。

 死は個人的なものだと主張するブックスだが、自分が殺した死者に対しては敬意を払っていません。「罪の無い人間は殺していない」という言葉も、正義のように聞こえるが、所詮は殺した者の勝手な価値判断だ。まして舞台は20世紀になったばかりで、現代にも通ずるような時代背景。特に宿屋の息子ギロム(ロン・ハワード)に銃を教えている光景は、銃社会を正当化したアメリカ・ナショナリズムに他ならない。

 西部劇という映画ジャンルそのものが行き場を失いつつある70年代において、最後のガンマンとして潔く死ぬことがこの映画の最大のテーマ。死を覚悟して酒場に向かうブックスと、彼を撃ちたい3人の男のコントラストが面白い。そして銃を投げ捨てるギロムのおかげで後味は悪くならないのがよかった。

kossy