劇場公開日 1965年4月3日

「これこそ映画の世界遺産です」赤ひげ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これこそ映画の世界遺産です

2019年9月19日
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文句のつけようはずもありまん
ただただ感涙あるのみです

物語は一言でいえば新任の若い医者の成長物語です
その主人公に加山雄三を配役する眼力は流石というしかありません

物語は、狂女、六助の娘おくにと三人の子供、佐八とおなか、12歳のおとよ、7歳の長坊の五つのエピソードで構成されます
おとよと長坊の二つが休憩を挟んだ後半になります

狂女の登場の鳥肌のたつ怖さはどんな怪談よりも怖い
おくに役の根岸明美の超がつく長台詞シーンは驚嘆、圧巻で度肝をぬかれるばかりの名演です
異常な緊迫が画面に溢れています
おとよと長坊の二人は病床での眼の光にはまいりました
神ががった演技が山のように全編に満たされています

そこに黒澤監督の演出が炸裂するのですから、強烈な映画体験と言うしかありせん

劇中の季節が初冬に始まり真冬を経てラストシーンは積雪の溶ける明るい日射しの春で終わります
主人公の心象の変化を季節で表現させているのはお見事という他ありません
井戸の水面に水音がして波紋が広がって、長坊が命をとりとめたことを実感するシーンも流石です

これこそ映画の世界遺産です

あき240
KEIさんのコメント
2021年1月20日

あき240様
映画の世界遺産!同感です!

KEI