劇場公開日 2021年4月30日

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「妖艶で魅力的な昔の日本の女性像」愛のコリーダ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5妖艶で魅力的な昔の日本の女性像

2021年6月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

萌える

邦画史に最も影響を与えた(と勝手に思っている)阿部定事件をテーマにした大島渚監督作。
現代を生きる自分でさえ、この事件をはじめて聞いたときにかなりの衝撃を受けた覚えがある。
少し阿部定事件について調べてみたけれど、結構忠実に描かれている印象。

そして何より、ずっと濡れ場。
想像の何倍も絡みのシーンで、それだけ阿部定が吉蔵を愛していたんだなとわかる。
究極の愛の形。
独占欲と一言で言ってしまえばそれまでだけど、演技とはいえ2人の相思相愛っぷりが生々しくも愛おしく、ずっと観ていたいと思ってしまった。
だからこそ、普通だったら理解しにくいプレイも納得してしまう。
ただ、理解できないところもあった。
大島映画はまだ2本目ですが、しっかり人物相関をわかりやすく描いたうえで多くは語らず、解釈をこちらに委ねてくるこの感じ、嫌いじゃないです。
特に結婚式?の場面はかなりカオス。
昔はあんなに公開SEXが普通だったのか?
普通なら修羅場と化すような状況でもヤり続ける。
定さんきっつぁん流石です。

これはアートか?エロスか?
アートであり、エロスでしょう。
エロスこそアート。
こんなに芸術的な官能を今のところ見たことない。
ただ、そういう話の前に今だったら児ポでアウトですね。

最初は「これ、公共の場で観ても大丈夫か?」と思っていた濡れ場にも次第に慣れた。
登場する様々な爺婆の魅力を堪能し、「かたい」に関するなぞかけ的な一幕(性格・雰囲気/イチモツ)に笑い、悲しいとも幸せとも違うなんとも言えない気持ちで迎えたラスト。
これが最後の劇場公開。
映画館で観れて本当に良かった。

唐揚げ