ひとりぼっちの青春のレビュー・感想・評価

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3.5「メリーゴーランドから降りるのよ」

2021年9月16日
iPhoneアプリから投稿

制作された時代を鑑みるにこの作品もまたアメリカンニューシネマの潮流に列することができるだろう。というか実直すぎるくらいにニューシネマそのものだ。

際限なく何千時間も続いていく「マラソン」と、それに反して加熱の一途を辿るオーディエンスの歓声。

その空疎さは「マラソン」の会場だけに留まるものでは、単なるアレゴリーでは決してない。それは社会そのものなのだ。

終盤で「マラソン」を棄権し会場を後にしたグロリアが「メリーゴーランドを降りるのよ」と言ったとき、それは「マラソン」という限定的なゲームではなく、社会そのものからの離脱を意味した。意味せざるを得なかった。

彼女の「離脱」に手を貸したロバートは、警察に殺害の理由を問われてこう答える。

「廃馬は撃たれる」

いずれは私も。あなたも。

誰も彼もが。

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因果