劇場公開日 1957年9月17日

「文字通り名優たちの競演に一見の価値あり」どん底 chakurobeeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0文字通り名優たちの競演に一見の価値あり

2016年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

江戸時代の貧乏長屋に暮らす最下層庶民の哀歓を描いた傑作映画。 それぞれの貧困の理由を抱えた住民たちの生活ぶりから「生きる」とは何かという命題を突きつけているかのよう。黒澤映画は俳優もセットも飛び抜けて魅力的だ。左卜全が演じていたわけ有り老人の存在が光った。 映画の最後の方で、長屋の酒に酔った住民たちがそろって奏でる音曲の場面は特に秀逸。今、思うと、黒澤映画はもったいないほどのそうそうたる俳優人をあまた揃えて何と贅沢に作り上げられたものか、と改めて思った。他の黒沢映画同様、一部の音声が聞き取りにくいのが残念でした。
なお、本編はロシア文学好きの黒澤明監督がゴーリキ作品を舞台を江戸時代に移して映画化したもの。「白痴」の場合同様、本場のロシア版よりも原作の本質を表現している、との評価もある。

chakurobee