「戒めか、教えか」天地創造 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5戒めか、教えか

2021年6月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

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『旧約聖書』を壮大なスケールで映像化したTHEハリウッド・スペクタクル超大作。
創世記の1章から22章までの有名なエピソード…と言っても日本人にはピンと来ないかと思ったら、
神による7日間の天地創造~あらゆる生命の誕生、
最初の人類アダムとイヴ~禁じられた果実を食べエデンの園追放、
その子カインとアベル~人類最初の殺人、
ノアの方舟~大洪水、
バベルの塔~塔の倒壊と世界や人々の分別、
ソドムとゴモラ~都の滅亡、
…などなどなど。
知識不足で終盤のエピソードのアブラハムと、その息子イサクの生け贄はほとんど知らなかったが、それでもよく知ってるのもあれば何となく聞いた事ある程度など、意外と知っていた。これも古今東西の映画を見続けている賜物。
本作だけでも聖書の勉強になる。

邦画でも東宝特撮が総力を結集した『日本誕生』があったが、何もかも桁違い。
開幕の天地創造シーンは、よくぞ見つけたと思う大自然映像の数々。
ユーモラスなのは監督ジョン・ヒューストン自ら演じるノア。本作で唯一のコミカル味付け。
動物たちが方舟に乗るシーンは極力本物。さすがに肉食動物は合成…って、本当に乗ってる??
特撮を駆使した洪水シーンは圧巻。舟外から聞こえる流された人々の阿鼻叫喚は地獄絵図。
洪水シーンのみならず、バベルの塔倒壊、ソドムとゴモラの都の滅亡シーンなど、圧倒的スケール!
ハリウッド・スペクタクルの醍醐味を充分に堪能出来る。
大抜擢された黛敏郎の音楽が素晴らしく、本作でオスカーノミネート。日本人として誇らしい!

肉親殺し、他者支配、征服、神の領域にまで手を伸ばそうとする人の強欲、傲慢。
しかし、それと同じくらい痛感する神の恐ろしさ。言い付けに背いたからと楽園追放。地上に人の悪が蔓延ると、大洪水で洗い流し、塔や都を滅する。極め付けは、純粋な子供を生け贄に…。

最後は救済。
これは戒めか、教えか。

近大