劇場公開日 1963年3月1日

「古臭さを全く感じない」天国と地獄 やべっちさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0古臭さを全く感じない

2022年3月3日
iPhoneアプリから投稿

1963年黒澤明監督作品。

ある誘拐事件をきっかけとしたサスペンス。

さすがというべきか、2022年の今観てもなんら古臭さを感じない。風景などは63年といえど、内容の円熟さ、演出などは今のサスペンスと変わらず、時代を感じないのは驚嘆に尽きる。昔の映像とは思えない。今の映画を白黒であえてやってるんじゃないかと思えるほど。

150分近い作品なので、一辺倒な内容ではなく、当初思い描くような着地とは遠いものとなるだろう。前半と後半で展開が変わる。天国とはなにか、地獄とは何かというタイトルの意味をラストまで考える作品になっている。

ただ犯人が思ったより浅はか、かつ動機がイマイチなところが、最後少し残念ではあった。こんな魅せる内容ならラストのラストまで重厚に締めて欲しかったというか。

若き日の山崎努もかっこよかった。顔が小さすぎて、サングラスで顔が半分くらい隠れていた。

なかなかの良質なサスペンス、観て損はない作品ではありましょう。

やべっち