劇場公開日 1962年1月1日

「おかしさの中の現代社会との対比。」椿三十郎(1962) Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0おかしさの中の現代社会との対比。

2021年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

黒澤監督の映画は大好きだが、何度みても、この映画は大笑いで、侍の世界を描いているはずだが、縦社会で現在と似たようなところがあり、日本の伝統が垣間見(かいまみ)えるので面白い。それに、金魚のフン的思想も。

特に好きなところは、若者侍の団体は優秀な血筋に属するようだから、これらの若侍と、椿三十郎(三船敏郎)の対比が愉快だ。結局はどこの馬の骨かわからない、椿三十郎の考えや知恵や経験や、腕前に敬服して、平伏すわけだが。。。そこへ辿るまでの若侍の成長をおもしろ、おかしく描いているのが大好きだ。階級や身分の方が大事で、実力のある人間がし上がるのには時間がかかるようだ。 はっきり言って、実力のある侍(浪人)は狭い体制の中で胡坐をかいて(あぐら)いるのは向かないのかもしてない。一匹狼が好きだとおもう。江戸時代で政権が落ち着くと身分の高い侍が刀を振り回すのは稽古だけになるようだからね。侍で実力のある知恵者と人数だけ多いボンボンとではどちらが大事なんだと思わず言わせているようでおかしい。

その階級の武家社会の中でも、判断を誤らない、賢い人々もいる。井坂伊織(加山雄三)の叔父で城代家老タヌキ(伊藤雄之助)と、大奥様(入江たか子)と言われる妻である。似たもの夫婦でお互いに信じ合っているところがいい。タヌキの妻、大奥様が刀を鞘に入れていない三十郎をよく見抜いてる。 そして、この大奥様と娘という女の存在が、武家社会の男女の役割の違いを見せている。これも、まだ現在社会でも男が稼ぎ、女は家庭を守るものという思想が変わりにくいのもこの映画から察せられる。

現代社会とこの映画を対比して、クラスで話し合うのも面白いなあと思った。

Socialjustice