リング0 バースデイ : 映画評論・批評
2000年1月15日更新
2000年1月22日より日劇東宝ほか全国東宝系にてロードショー
これが最後!貞子の怨念の理由とは?
鈴木光司の小説を原作とする「リング」という物語は、映画・TV・コミックと、さまざまなメディアに波及し、“リングウィルス”などと当事者が得意げに自称するまで広がりをみせました。長い髪を垂らして奇妙な動きで迫ってくる「貞子」さんは、今や平成のホラーヒロイン。そして今回のシリーズ最終章では、ついに貞子の「恐るべき出生の秘密」が明らかにされます。「貞子キャラ」の生みの親である脚本家の高橋洋が「ホラーの鬼才」鶴田法男監督と組んだ本作の魅力は、まず大人のホラーファンを唸らせるハイブラウな演出でしょう。ジョルジュ・フランジュの「顔のない眼」を思わせる劇中劇や、カーペンター、デパルマ、クローネンバーグらの参照を織り交ぜ、画質の微妙な変化、流麗なカメラ、神経を揺さぶる効果 音など、丹念なディテールがツボに訴え、期待に応えます。気になるのは貞子役の仲間由紀恵でしょうか。長い黒髪とお嬢様ルックで台詞を棒読みするさまは、例えば、TV版(TBSの方)で全裸で 歩き回る三浦綾音と比べることもないのですが、かなりかったるい。これが恐怖に繋がれば凄いのですが、残念ながら彼女の場合、かったるいままなのです。
(日下部行洋)