海の上のピアニストのレビュー・感想・評価
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やられた。
まず、子役に。そしてティムに。あんな美しい人だったんだ。
あの眼。
そして、唇の端。
スクリーンに入って、止めたかった。船から降りて欲しかった。
時代が違うんだと思った。彼らに残されたのは生き方を選ぶこと。
その選択は間違っていると思う現代は幸福なのか?
まつエク直後なのに泣けました。ああ。取れちゃう。
それにしても女子部屋、忍び込んじゃダメでしょ。
あれだけはやめて欲しかった。泣
メラニーもほんとに美しかった。
感動が薄れるのが怖くて言語化できません。
完全版楽しみ!
[追記]
2024年午前10時の映画祭にて再び鑑賞。
二度観るのって大事。てか私が歳をとったからなのか。
下りなかった選択について深く考えながら見ることができた。
不思議な、おとぎ話のような映画
こういう映画には高評価を付けるものなんだろうなと思いつつも、自分の気持ちに正直に、他の方のレビューを読む前に、星の数を決めました。早い段階で、リアリティは無いと思ったので、あるトランペット吹きが体験した夢のような話、として観る事にしました。
豪華客船が入港後、船内に、レモンの木箱に入れて置き去りにされた赤ん坊。1900年にちなんで”1900”(ナインティーンハンドレッド)と名付けられました。最初のうち隠されたのはしょうがないとして、養父が死んだ時やピアノの才能が知られた時に、なぜ、戸籍をどうにかしようと誰も思わないのか。
不思議な映画としてそこは曖昧にしておくのもアリなのですが、「彼は存在していないも同然」「生まれたことにさえなっていない」と繰り返し強調したのが気になりました。戦争で国を追われた人々を象徴しているのでしょうか。”1900”には実は天才ピアニストの才能があったのですが、開花する環境にあったとは言えなので、かなりの奇跡です。バンドのピアニストとして採用されると、音楽の教育を受けていない彼は即興で美しい旋律を次々と生み出していき、それが大評判となります。音楽の神様に愛されていたわけですが、彼にはたぶんそういう概念は無く、一応キリスト教徒でしたが信仰心もあったのかどうか。
ある時彼はトランペット吹きのマックスと知り合い、生涯の友を得ます。マックスの目には音楽を心から楽しんでいるように見えた彼ですが、一人の少女と出会って心を奪われます。とうとう船を降りようと決心しますが、いざその時になると目の前の街を見て、降りるのを止めてしまいます。その真意は・・・
彼が愛したのは少女なのか、音楽なのか、故郷とも言える船なのか、それとも何も愛してなどいなかったのか、私には理解するのが難しいです。(そういえば、「陸の人間は答えを求めすぎる」と彼は言っていたような・・・)そもそも戸籍が無いから上陸出来るのかもわかりません。そこでファンタジーとして考えるには、船の爆破シーンはリアル過ぎました。
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9月6日、完全版を観ました。1つ訂正、「陸の人間は理由を求めすぎる」でした。映画に対する印象も少し変わりました。不思議な話という印象自体は変わりませんが、幾つかモヤモヤした件について、完全版ではもっと時間が割かれていて、腑に落ちました。
170分の完全版の方をぜひ見てください。
とても複雑な気持ちです
自分の想像力の貧相さに自己嫌悪することになってしまいました。
なぜかというと、このピアニストがニューヨークの社交界で、俗物たちをギャフンといわせて、最後はあの少女ともめでたく…。そして、なんだかんだと街(世間)に染まることはなく、又別の形で海の上に帰っていく。
そんなクロコダイル・ダンディー的な展開を期待してしまったからです。
あー、情けない。
確かに街並みや道路の広がりは、88個の鍵盤に比べたら無限だけど、陸のピアノだって鍵盤の数は一緒なので、やっていけるはずなのになぁ、とか思ってる時点で、私の感性は1オクターブ分にも満たないのかもと落ち込んでます。
陸に降りても〝ピアノが弾けることの喜び〟が、自分の生まれ育った船というゆりかごを離れる不安に勝ることができなかったことが、私には残念に思えました。
でも、音楽シーンはどれも圧巻で大満足です。
どんな場所であれ、生まれた場所は愛する故郷
4K修復上映にて初めて鑑賞。事前にある程度作品内容、背景を収集していた為実話でないことは知った上で観賞したが、まるで実話でありそうなファンタジー作品。
20年前の作品を物凄く見ているわけではない為この時代に作られた他の作品をはじめとした流行だったり時代背景というのはあまりわからないけど、この作品は戦争背景なんかも揶揄してるのかなと勝手に思いながら観賞していたりもした。
1900は船で生まれ育ち、陸に上がることなく最後は船と共に自らの人生に終止符を打つ。
陸で育った僕からしたら命を自ら落とすことに抵抗を覚えるが、彼にとって船は愛する故郷である。
その愛する故郷とも共に命を落とすことを望むのは自然の事なのだろう。
この辺りがなんか戦争地域、その地域の人々と重ね合わせたりもしてしまった。
名前もなく、船を離れれば名前はおろか存在すらも忘れられてしまう1900。これが幸せなのか不幸なのか…中々簡単にはどちらだということはできないが、一瞬一瞬の人との出会いだったり、喜びを与え与えられる事もた人との繋がりとして大切なのだろう。
あまり過去の作品とマッチする事がない未熟な僕だがそんな僕でもまずまず楽しめた。
無限の鍵盤
客船の上に置き去りにされていた赤子が、一度も陸に降りたことのないまま天才ピアニストとして育ち、幾多の出来事の末、遂に船を降りることを決心するが…といったストーリー。
1900と名付けられた男と、本作のもう一人の主人公とも呼べるトランペット奏者のマックスが船上で出逢い、物語の本筋が始まっていく。
ストーリーは勿論、随所で聴けるピアノの旋律が素晴らしい。
映画の中の出来事とは言え、ピアノ対決での演奏はかなり興奮してしまった。
また、今は見る影もなくなった船と、華々しかったときとの対比がとても切ない。
誰もがマックスの話を有り得ないと決めつける中、それでも1900が絶対に…と信じて疑わなかったマックス。
最後の二人の会話のシーンはググっときましたね。
マックスをはじめとする、船上で出逢う数々の人物と1900との会話の中に、この物語の結末に至るヒントが散りばめられていたように思う。
ホンモノの芸術家って、固いというか難しいというか、そういう一面があったりするものだけど、彼が何を思い浮かべて天才的な旋律を奏でたのかを思い返せば、成程そうするしかないのかと、ちょっと気持ちがわかったり。
寧ろ彼には、陸の声が聞こえたのかな。
その他、序盤と終盤のマックスの楽器屋での出来事も切なくって良かったし、彼の今後の物語も気になりますね。
本筋ではないけど、欲を言えばお父さん(実父じゃないけど)との話ももっと濃密に見たかったかな。ここだけでも一本映画が作れるのでは(笑)?
何故か誰も起きなかったり、おしりの摩擦が強すぎたり、キレイなままの服装とか、意外とツッコミどころが多かったけど、生涯海の上だけで過ごしたピアニストの生き様や、強い友情の物語が観れてとても素晴らしかった。
惜しむらくは、音楽モノだから敢えてやっているのか、或いは行った劇場がたまたまそうなっているのかわからないけど、普段と比べて明らかに音量が大きく、正直かなりうるさいと感じてしまい…。
もうちょっと集中して観れたらより高得点だったかも。
合掌、モリコーネ節を聴く作品
やっぱり、モリコーネは素晴らしい。もう世界は、この人の新作のメロディを聴くことができないのが悲しいです。お話しは、数奇なピアニストの物語です。船の乗客のイメージから様々な曲が即興で紡ぎ出されるのが面白く、船窓越しに一目惚れした女性への感情をピアノ曲で表現するあたりは、とてもロマンチックです。とは言え、客船が舞台の割には、空間も登場人物も非常に限定的で、映画作品としての奥行きも広がりもないように感じました。主人公の扱い方も作り話っぽく、イマイチ共感しにくかったです。部分的にはいい所もあるんだけど、あの名作『ニューシネマ・パラダイス』の監督、音楽のコンビだったので、私的ハードルが高くなってたかも。
井の中の蛙、大陸を知らず
1900、先ず彼の目
そのファインダーを通じて浮かび上がる
心の譜面
一心不乱に弾き狂う、魂の旋律
外界の事象を純粋に吸い込む装置のような
研ぎ澄まされた五感
自らの世界と生命が等しい
尊い運命
大海を生きて、大陸を望まず。
船上編「汚れなき悪戯」
「ひとりの捨て子が、素敵なおじさんたちに拾われて、うんと可愛がられて、そして死んでいく」。
マルセリーノ。そしてこの1900。
貧しい、定められた境遇に生きる船員と修道士たちに与えられた、
この幼子は神からのギフトだ。
今作「海の上のピアニスト」は、物語の展開的には1900の成長後に重点が置かれているけれど、冒頭描かれていた「船員たちと幼子が一緒に暮らした船倉でのシーン」が、心に深く残る。
つまり、世から隔絶された海の上の、船の中の、そのまた隠された窓のない船倉での、彼らの共生のシーン。
「船」を舞台にした数々の名画は、その不安定性と閉所性のゆえに、なにか独特の物語世界が醸されていて、
だから実に面白い。
170分のイタリア版、これ観てみたいです。
イタリア映画って、人々がささやかに暮らして、そして少しだけ幸せになったのに 破壊で終わるの。
・・・・・・・・・・・・
僕は何度か台風の客船を体験しています。
下船したあと四つん這いになって、ペタペタと港のコンクリの地面を叩いて確かめる「動かぬ大地」の、どれだけ頼もしく、嬉しく思えたことか!
そしてあの「眼振」って、実験・再現出来るんですよ、ぐるぐる回って目を回した人の眼を覗きこんで見て下さいね。
不朽の名作
トルナトーレ監督の監修による4Kデジタル修復版(121分)を劇場で鑑賞。
リアルタイムで観ていない世代です。とはいえ、生まれてはいます。リアルタイムで観ていないのに、「愛を奏でて」を子どもの頃にピアノで弾きました。
いやー、素晴らしいですね。ずっと泣きっぱなしでした。
これぞ、友愛の物語。
何が正解なのか。陸で生きるのも海で船の上で生きるのも何が間違っていて正解とかはない。
ただ、二人の絆に泣けた。
広い世界を知らずに、狭い世界で生き通すことも美しいのかもしれない。
この機会に劇場で観るべき作品。
とくにミレニアル世代、Z世代のまだ観ていない人達、是非劇場で観てほしい。
「自由」の定義
お金はある程度ある。仕事を変えてもいいし、何なら家族を捨てて世界中どこへでも行ける。
私たちは「自由」の世界に生きている。
でも誰も人生を変えようとしない。その先が良くなるか、悪くなるか、やってみないと分からないのに。
人は真っ白な未来に無限の選択肢を与えられると、どうしたらいいのか全く身動きが取れなくなってしまうのは何とも皮肉なこと。
四角切り取られたcanvasや88鍵の銀盤のように、あえて制約下におかれることで人は無限の力を発揮する。
1900はなぜ船を降りなかったのか。
彼の話を聞いてもまだ納得できないこともあるが、船の上は彼の人生すべて。彼の無限のイマジネーションは地平の彼方と天空の先まで駆け抜ける。
生前に日本の外に一歩も出ることはなかった坂本龍馬は、世界のなかでの日本という存在を頭の中で理解できていたらしい。
自分の目でみえる「世界」だけがすべてではない。
作品の細かい点はツッコミどころはあるが、そこは目をつぶって作品のファンタジーをめいっぱい楽しみたい。音楽はどんなに優秀なプレゼンテーターよりも能弁だということをあらためて教えてくれる。
廃墟好きの自分としては、用済みになった客船の姿が往年の華やかなりし頃をフラッシュバックさせるような佇まいを静かにみせてくれる。
人生の様々な側面が凝縮されてる映画。しかしなんといってもジャズ対決...
人生の様々な側面が凝縮されてる映画。しかしなんといってもジャズ対決シーンは痛快。この時のズームを活用したカメラワークもかっこいい。
セッションという映画を思い出した
ニューシネマパラダイス好きの私としてはジュゼッペ・トルナトーレ監督のこの作品観ないわけにはいかない!
舞台はずっと船。主人公は船で生まれて船で働く労働者に育てられる。
なぜピアノが上手くなったのか?なぜ戦争中船で生活して食べ物に洗濯に困らなかったのか?謎。
女性を見つめながら作った音楽は悲しげで泣きそうになるくらいジーンと来る。
きっと彼の境遇を知ってしまったから余計に。
船での生活しか知らず、船での生活に満足していた彼には大陸へ降りてからの目的が見出せなかったのだろう。
運命的出会いの彼女を追いかけ訪ねて行って欲しかった。
彼は悩み結局船を降りなかったけれど、現実的にはパスポートもないしきっと手続き面倒になるだろうなんてそんな事考えながらタラップのシーンを観ていたからこの映画にどっぷりのめり込めなかったのだと思う。
主人公の決断と友人の諦めの良さが納得いかなかった。
ついでにヒロイン役のメラニー ティエリーが美しくないと言うか好みではない。
モリコーネの音楽は非常に良かった。
船で育ち、一度も陸に降りなかった男。 人の雰囲気をピアノで表現した...
船で育ち、一度も陸に降りなかった男。
人の雰囲気をピアノで表現したり、
本当に天才ピアニストだった。
トランペット奏者の方もいい役をしていた。
一番好きな映画
一番好きな映画。船の上で一生を過ごしたピアニスト、ナインティーンハンドレットの話。こんな生き方は最高にクールだと思った。ニューシネマパラダイスと同様、エンニオ・モリコーネ担当の音楽も素晴らしかった。
印象に残ったセリフ
「陸の人間は“なぜ”ばかり
冬が来ると夏を待ち
夏が来ると冬を恐れる
だから飽きずに旅に出て
遠い常夏の地を求めてさまよい歩く
あの大きな町。終わりがなかった。
タラップまではよかった。
さっそうとコートを羽織って。カッコよかった。
降りることは平気だった。それは問題なかった。
問題は目に映ったものでなく、映らなかったものだ。
ピアノは違う。
鍵盤は端から始まり端で終わる。
鍵盤の数は88と決まっている。
無限ではない。弾く人間が無限なのだ。
人間の奏でる音楽が無限。そこがいい。
無限の鍵盤で人間が弾ける音楽はない。
ピアノが違う。神のピアノだ。 」
ピアノの音色は海に似ている
ピアノ決闘のシーンはしびれた。
でも、主演の人物がどうも、、怖い個性であまり好きじゃないというか。
単純に私と相性が合わないだけなのかもしれないけど
最後にふたりで船の中で語り合うところは最高であった。
マックスの涙が忘れられない。
陸に住む私たち
この上ない現代へのアンチテーゼ。
海の上でしか生きられないピアニストは、現代社会を俯瞰することができた。
限りないビルの高さ、限りない道の本数、限りない金、限りない女、そして限りない戦場。
すべて海の上から音楽を通して、見てしまったのだろう。
そうなったら怖くて陸には降りれない。この映画のピアニストのようにすべてを見てしまったら。。
ピアニストの親友の船酔いの後遺症の残った揺れる目は、現代の私たちの目と同じだ。
限りない選択肢に将来を迷う目、限りない欲望に惑わされる目。
それに対して、ピアニストの目はただ一点を見つめる。
迷わない。人生はピアノだ。
陸に暮らす私もただ一点を見つめていたい。何事にも惑わされず限りある鍵盤の上で無限に生きたい。
限りない鍵盤の上で惑わされて生きるのは嫌だ。
そんな声が爆発する船から聞こえた。
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