劇場公開日 2024年3月22日

「淡々と、ゆるりと」戦場のメリークリスマス みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0淡々と、ゆるりと

2016年2月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

映画の舞台は、ジャワ島の日本軍捕虜収容所だから、当然の如く男しか出てこない。
国籍も違う、支配する者と支配される者同士であっても、そこは同じ人間、美しい同性を美しいと感じてしまう感情は、人として絶対に犯してはならないタブーだったのか。
その衝動をどうしても押さえきれなかったヨノイ陸軍大尉の姿が、ここではとりわけ特異に映る。
戦争映画なのに激しい戦闘シーンは一切出て来ないし、かと言って反戦のメッセージを声高に叫んでいる訳でもない。
今となっては坂本龍一とデヴィット・ボウイの突発的なキスシーンと、ラストで見せるビートたけしの画面いっぱいに広がる笑顔と、坂本龍一が手がけた単調な旋律が印象的な美麗なテーマ曲しか思い出せない。
かつての『愛のコリーダ』がわいせつ頒布罪で裁判沙汰になるほど、日本中にわいせつか、芸術かのセンセーショナルな話題を提供したのに対して、本作はあからさまな男同士の性描写もなく結構おとなしめだったように思う。
起伏の乏しいストーリーと相まって、そこが何とも惜しいところである。

コメントする
みつまる。