劇場公開日 2006年6月10日

「 オカマの主人公を気色悪いと言ってたインディアンのバンドメンバー達であったが、彼らのバンド名が“モーホーズ”というのはどういうわけだ?!」プルートで朝食を kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 オカマの主人公を気色悪いと言ってたインディアンのバンドメンバー達であったが、彼らのバンド名が“モーホーズ”というのはどういうわけだ?!

2020年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 冥王星(プルート)が太陽系の惑星じゃないと定義されて早2ヶ月。それ以前にこの映画を観ていたら、まだ太陽系の家族なんだという気持ちにもなったのでしょうけど、今は違います。革命気運も高まっているアイルランドにあって、主人公のパトリック・キトゥン(キリアン・マーフィ)はどこか自分の存在が宇宙の彼方にあるような性格の持ち主。かつての友達も革命戦士になっているし、簡単に言うと“浮いてる”のです。

 シリアスは嫌だ嫌だと言いつつも否応なく爆弾テロに巻き込まれたりする波乱万丈の人生。そもそも教会に捨てられて普通の家族に育てられたにも拘らず女装癖が身についてしまった経歴の主人公なのです。家を飛び出してからは母親探しのためにロンドンへと向かうのですが、複数の男性を渡り歩く経歴が面白かったです。特にスティーヴン・レイが演ずるマジシャンのエピソードは不気味なアングラ系の映画に変化したような独特の雰囲気、母親にたどり着く直前の覗き部屋で働く姿も面白い。男に純粋に尽くす性格は『嫌われ松子の一生』をも思い出してしまいます。

 しかし、彼の脳内は銀河系の彼方に飛んでいってしまっているので、爆弾犯と間違えられてもMの性格になったりして、「もっと牢獄にいたい」と言ってしまうほど。基本的には人を傷つけることなんて出来ない平和主義者のようなので、男たちを困らせてしまうけど憎めないキャラ。何とか母親に会わせてあげたいと応援したくなってきます。そして、最初はメイクもひどいものだったのに徐々に女らしくなっていくキリアン・マーフィが凄い。ラストには完全に綺麗な女性となっていました。

 オープニングから大ヒットしたルーベッツの「シュガー・ベイブ・ラブ」。全編に渡り懐かしい曲のオンパレードでしたが、シルバー・コンベンションの「フライ・ロビン・フライ」が流れたときにはどんな選曲してるんだとビックリしてしまいました。『慕情』とか『南太平洋』を知っている方ならもっと楽しめるのかも・・・

【2006年10月映画館にて】

kossy