劇場公開日 2006年9月16日

「失笑なら俺にまかせろ!」パビリオン山椒魚 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0失笑なら俺にまかせろ!

2018年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 特別天然記念物であるオオサンショウウオは勝手に触ることも捕らえることも移動することも許されないし、保存に影響を及ぼす行為も禁止されています(文化財保護法)。

 このように規制も厳しい山椒魚を扱うということだけで奇想天外なコメディ、妄想ファンタジーを想像しますが、前半はそれなりに引き込まれる内容で面白かった。主人公オダギリジョーの天才レントゲン技師という絶妙な人物設定や、二宮家の人間関係、サラマンドル・キンジロー財団と第二農響との関係などはとても興味深く、どろどろした陰謀や国家予算をも掠め取るサスペンスをも予感させる。

 しかし、後半はだめだった。二宮家の人間関係はちょっとだけ謎があったのに、あっさりばらしてしまう。「母親に会いたい」という願いと出生の秘密はもっと引っ張るべきでしょう。麻生祐未が亡くなった時点で終わってしまいました。山椒魚が本物か偽物かなんてのは登場人物と同様、観客にとってもどうでもいいことなのですから・・・

 また、冒頭にもあった麻生祐未と二宮あずき(香椎唯)のシーンも良かったし、レントゲンバスで姿を現したオオサンショウウオのぬめり具合が妙に生々しいので、映像的にも掴みはOKだったのに、徐々につまらなくなってくる映画でした。と思っていたら、冨永昌敬監督は短編・中編で注目された監督だとか・・・それでこんな息切れしてしまう作品になったのですね。

 一番寒かったのが高田純次。笑えないギャグも多かったけど、その中では頑張っていた津田寛治。「失笑なら俺にまかせろ!」とでも意気込んだのか、失笑のオーラを感じてしまいました。

kossy