劇場公開日 2002年5月25日

「皮肉てんこ盛り」ノー・マンズ・ランド Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5皮肉てんこ盛り

2013年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

総合:75点
ストーリー: 80
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 70

 戦争をしている。本物の殺し合いである。深刻な話のはずなのにコメディなのか皮肉なのか、時々笑える。
 両軍が対峙する戦場のど真ん中で兵士がパンツ一丁で踊りだす。英語がわからないのにわかるふるして、何を聞かれてもイエスだけをひたすら連発する兵士がいる。人の命がかかった任務よりも、ミニスカートの秘書らしき女性を机に座らせてチェスに熱中するほうが大切という本部の指揮官がいる。
 そのような中でも人は死ぬ。どうにもならない感情の絡み合いもある。戦争がなければ友人になれたかもしれない人を殺す。描かれる現場の深刻さと上層部の気軽さの差がおかしい。そんな不条理さと人の命の軽さが苦い後味を残す。エンディングの音楽も物悲しい。
 マスコミにしても所詮は特種を探して自分たちの報道の手柄が大事なのだが、それでもやはり真実が容易に権力者に都合よく作りかえられる中で、結果的に情報を伝えることの力は大きいというのはつくづく感じる。少なくとも指揮官に魅惑的な秘書とのチェスを諦めさせたという大手柄を挙げた。

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Cape God