劇場公開日 2006年7月15日

「今のうちに海外移住計画を!」日本沈没 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0今のうちに海外移住計画を!

2020年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 さすが樋口監督だけあって、特撮では素晴らしいシーンがあった。しかしそれよりもエキストラの人数が凄い!そして意外な登場人物、富野由悠紀、庵野秀明、福井晴敏などなど。「わだつみ」スタッフの中にもこっそり明和電気の土佐社長が出ているし、吹き出してしまいそうになったのが、柴咲コウのじいちゃんが丹波哲郎だったこと。こんな大勢の出演者の中で、意外な人物探しも楽しいかもしれない。

 オリジナルの映画はさっぱり覚えてないけど、もうちょっと骨太だったような気がする。それを今回のリメイクでは、深海調査パイロットと女性レスキュー隊員のラブストーリーがメインのように扱われてが、ドラマとしては全くお粗末なもの。むしろ大災害におけるシミュレーション映画と思えば腹が立つこともないでしょう。

 しかし、特別出演の石坂浩二演じる山本首相を中心にした興味深い台詞やエピソードもあり、ちょっと考えさせられました。まずは「アメリカに見捨てられる」こと。いくら経済大国日本であっても産業経済が崩壊してアメリカにおける日本企業も株の大暴落しては、日本に魅力がなくなるため。そして「民族的特徴として、国土とともに死ぬ覚悟である者が多い」こと。国土を失って流浪の民となっても、「人が集まればそこが国になる」という発想が生まれない国民性があるのかもしれませんね。

 また、難民の受入先を交渉しに行くなどといった、日頃の外交がお粗末な国であることも皮肉ってるようなエピソード。「韓国は受け入れてくれない」などとも言ってましたけど、中国もかなりやばいでしょう。元々日本が難民受け入れに消極的なため、いざというときには日本人は嫌われることになるかもしれません。ましてや靖国問題が解決しないのだから、仮に中国で受け入れられても、日本難民が迫害されるのは目に見えてます。

 前半はそれなりに楽しめましたけど、緊張感が徐々になくなり、『アルマゲドン』的な特攻精神にうんざりしてしまいました。國村隼は交渉のため中国に向かったようですけど、彼もまた特攻だったのかもしれません。戻ってこなかった理由も、袋叩きにあってたのからなのかも・・・

【2006年7月映画館にて】

kossy