「誠実かつクールに描く青春劇。 ダレるところもあるが、それも魅力のうちか…?」リンダ リンダ リンダ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
誠実かつクールに描く青春劇。 ダレるところもあるが、それも魅力のうちか…?
軽音楽部の女子高生3人と韓国からの留学生が、力を合わせてライブを成功させようとする青春劇。
監督/脚本は『リアリズムの宿』の、日本映画界の俊英、山下敦弘。
主人公である韓国からの留学生ソンを演じるのは『ほえる犬は噛まない』『復讐者に憐みを』のペ・ドゥナ。
ソンに告白する男子生徒、槙原を『アカルイミライ』『男たちの大和』の松山ケンイチ。
ギター担当・恵の夢の中に出てきた人物、ピエールさんを演じるのは『RED SHADOW 赤影』『ローレライ』のピエール瀧本人。
この映画で扱われるのはロック。しかもザ・ブルーハーツ!
説明不要の激アツバンド。全ての迷える若者への道標ともいえる偉大な存在。
そんなホットな題材を扱っていながら、この映画の温度は非常に冷めている。
登場人物が大声で自己主張したり、大粒の涙を流したり、愛の告白をしたり…。
青春映画でありがちな、こういった過剰な演出は完全に避けられており、恋愛や友情も非常に淡白に描かれている。
この様なオブビートな演出がえも言われぬリアリティを醸し出しており、「あぁ、高校の文化祭ってこんな温度感だったよなぁ…」と心地良い郷愁の念に駆られる。
映画はクールだが主演の4人は非常にホット!
みんな可愛いんだ、コレが!
軽音楽部のメンツはスクールカースト上位の女子の感じが上手ーく描かれている。
前田亜季の存在感とかすごくリアル。あんなに可愛いくはないけど、なんとなくああいう感じの子は居たよな〜。
特に香椎由宇のルックにはやられた!スタイル良すぎ!綺麗すぎ!あの時リアルに10代だったというのが恐ろしい…。
だらっとした日常の中の、モヤッとした感情。その様な言葉にし難いものをブルーハーツの演奏にぶつける。
このラストシーンは中々感動的ではある。
とはいえ、クライマックスはもっと盛り上げてもよかった様な気がする。
最後の最後に爆発する様なパッションが観たかった。だってせっかくのブルーハーツなんだから!
全体的にオブビートな映画なので、やはりダレる場面はある。
特に後半の展開は尺が余ったのかと思うほどのダラダラ感というかグダグタ感というか…。
とはいえ、そこもこの映画の作風にはあっていたかな。そんなに気にはならなかった。
ただ、恵の夢の件とか、みんな寝ていて連絡つかなかった件とかはちょっとスマートさに欠けるか…。
その直前のソンと恵がトイレの手洗い場で会話するシーン。ソンは韓国語を喋っているので意味は通じていないはずなのだが、会話が成立しているという場面。
言葉を超えた交流というものがさりげなく描かれていてとても良いシーンだっただけに、その後の展開がもったりとしていると感じてしまった。
場面場面で考えると、すごく好きなシーンも多い。特に好きなのは初めてブルーハーツを聴いたソンが、無意識のうちに涙を流すところ。
その泣き顔をカメラに映さないところとか粋だと思います。
ヒロトの実弟、甲本雅裕をキャスティングしているのは、ヒロトファンとしては嬉しい所!
パーランマウムの演奏を嬉しそうに観ているシーンが、この映画で一番感動したポイントです。
好きな作品なのだが心をそれほど揺さぶられないのは個人の好みの問題かも。
個人的にはもっと熱い物語が好きだったりします。
いや、しかし、ラストのライブシーンはフェティシズム丸出しだったね。
制服×ずぶ濡れ×生足…👍