劇場公開日 2006年6月3日

「脇役加瀬亮の演技にクギ付け」花よりもなほ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0脇役加瀬亮の演技にクギ付け

2020年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

仇討ちを主題にしながらも、時代考証に立脚した深刻さを目的にはせず、長屋住人の人情に焦点を当てた喜劇。テレビドラマ「SP」の2年前の岡田准一の演技は、アイドル出身の俳優では別格の表現力であった。演出と作品の完成度に批判は無い。脇を固める芸人たちの芝居以外不満はない。貧しき者が助けあう生きる強かさのユーモアは充分伝わるし、スコットランド風音楽の使用も奇抜で独特な味わいがある。しかし、この映画で何が素晴らしいかといえば、加瀬亮の演技だ。脇役の為一エピソードだが、遊女との話は一本の映画作品にする価値がある。真面目に日本映画を観てきている訳でもないのに、それでも日本の俳優で感心することは、ここ20年で無かった。香川照之と加瀬亮、このふたりの演技が観られる幸福感。

Gustav